Lyric

手相占い始めたら、

最初に来たの、義手のおじさん

ブリキの指がギシギシ鳴って

「線はないんじゃが」

座ってきた

崩壊崩壊　マニュアル崩壊

後悔早退　熱海に逃げたい

グッナイグッナイ　瞼を閉じたい

しっかりしっかり　客は選べない

彼の名前は、グランパ・ジョー

「芸名っぽいですね」って返すと

「ジェネリック飲んでいい？

って水をすする

だいたい水は全部同じ味」

勝手に話が進む、

要するにね、要するにね

要せないまま、

“おてんばめしべちゃん”

と私を呼ぶ

全然追いつかない

義手は感情で色が変わるんだって

「ほら、見ろ、バネの中にメモリがひとつ」

“1974年、米兵とのキス”

懐かしい話してたから、エモい色になったろ？

って馴れ馴れしい

ちなみに私は色盲

それにどう見ても、枯れ木色

つっこんだら負け

手相占い始めたら、

最初に来たの、義手のおじさん

笑顔に見えない笑顔を見せて

「いずれラブドールになる」

語ってきた

境界境界　占い限界

あなたに会いたい　海辺で泣きたい

漏洩漏洩　誰にも話せない

了解了解　ひとつもできない

「タトゥーが入ってるんだけどね」

明朝体って文字を筑紫書体で彫ったらしい

って見せてきた腕が火傷だらけで、読めない

なんでこんなに気を使わなきゃいけないの？

愛想だけやたら良いのがとっても怖いよ

うわ、水ぐびぐび飲んでる…

手相占い始めたら、

最初に来たの、義手のおじさん

チタンの爪がカチャカチャ鳴って

「マットな黒がいいだろ？」

見せてきた

崩壊崩壊　マニュアル崩壊

後悔早退　熱海に逃げたい

グッナイグッナイ　瞼を閉じたい

涙で見えない　ぐにゃぐにゃ明朝体

なんにもできなかったけど、

未来じゃなくて

私は、あなたのことが知りたい

多様性、しんどい