工房ムジカ、令和六年夏。空、鈍色。天気、雷雨。のジャケット写真

歌詞

アトピーのうた (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

鈴木 諭

死にたくなるくらい痒いって感覚分かるかい?

脳髄に直接指令が溶け出し

全ての感情のスピードをはるかに超越して

指先を自在に操りだすんだ

気持ちの良い朝なんて無くて

毎朝起きたら布団は血まみれ

寝る前に柵に縛った手も取れて

リミッターを外した両手が暴れまわるんだ

記憶にあるのは病院ばかり

炎天下の下を楽しく駆け回ったことよりも

薬を塗りたくって歩いた記憶の方が

よっぽど鮮明さ

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

綺麗なシーツでひと眠りしよう

夏休みに引き籠って過ごす気持ちが分かるかい?

子供たちの声は窓の外

一日中ソファーにもたれかかり

何事も無く一日が終わる

愛と希望の青春時代と言うけれど

そんなことは僕に一切関係ない

顔に塗りたくった薬で

誰が見てもピカピカのお化けさ

呪文のように唱えるハウスダスト

アレルギーでかたづけるヤブ医者たらい回し

「たかが皮膚の痒さ」で片づけて

この絶望をちっとも理解しない

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

手袋脱いでひと休みしよう

ある日突然自分の皮膚が変貌する気持ちは分かるかい?

知らない間に現れる象の姿を

奇異の目で見られるのは嫌だった

人とは会いたくないんだ

病院代で毎年10万円が消えていく

こんな体じゃ欲しいものは買えない

美味しいご馳走を食べるよりも

薬を切らさないことが大事だから

洗脳は溶けた時に馬鹿らしさに気づくが

かかっている時は人生を揺るがす一大事

ステロイドは本当に麻薬だったのか

今ならその答えを知っている

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう疲れたろう?

食べたいもの食べ一休みしよう

人間じゃない自意識は日に日に増していき

今日も僕を白塗り仮面に変貌させる

だから顔についたてを立てて

誰も近寄って来ないように

自分を守るんだ

みんなが寄ってたかって

僕を押しつぶそうとするから

あなたの夜を知っている

あなたの朝を知っている

あなたの昼を知っている

だから歌うよアトピーのうた

皮膚を気にして丸一日過ごす気持ちが分かるかい?

薬草と呪文の治療を続けても

10年経ってもちっともちっとも

良くなりゃしないんだから

ついには気まで狂い始めて

心療内科に足繁く通う

気持ちの問題で片づけて

医者も薬を出して終わりさ

たかが皮膚の痒さくらいで

不眠と動悸に襲われるなんて

意識のはっきりしない日々が続くなんて

大人たちは認めようとしない

聴こえてくるアトピーのうた

僕らは知ってるアトピーのうた

我慢を続けることはもう止めにしよう

汗を気にせず外に出てみよう

  • 作詞者

    鈴木 諭

  • 作曲者

    鈴木 諭

  • ミキシングエンジニア

    鈴木 諭

  • マスタリングエンジニア

    鈴木 諭

  • ギター

    鈴木 諭

  • ボーカル

    鈴木 諭

工房ムジカ、令和六年夏。空、鈍色。天気、雷雨。のジャケット写真

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  • ⚫︎

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    鈴木 諭

2024年7月20日に工房ムジカにて行った、初・独演会『27年前の私に送る秋田の詩たち。』の模様を全編音源化。当日は酷い雷雨。演出かのように入り込む雨と雷の音。ライブの内容も圧巻。
店主・葛原りょう氏はライブ後に、以下のように書き残している。
「こんなに全身血の気の全力で引くライブは初めてだ。
圧倒的な虚無感。語りの冴えが痛ましく、リアルの極み。
月曜日の雪。犬の川。亀の串刺し、ばあちゃんの遺影。
上田病院。アトピーの歌。怒涛のギターの畳みかけ。
言い尽くせぬライブだった。
たしかに梅雨明けの日暮里は雪国だった。」
筆舌に尽くしきれぬ地獄の世界、心して体感して貰いたい。
いざ、地獄の世界へ。

アーティスト情報

哥処 墨林庵

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