

下北沢の 夜のこたつに
網の袋を たぐり寄せれば
擦れる音だけ オレンジ色が
ひとつ転がり 膝で止まる
あなたは薄皮 ごと噛む人で
私は白い筋 爪で剥く
「そのままでいいよ」と 笑う横で
房をひとつずつ 皿に分ける
剥けば飛び散る 冷たい霧が
指に橙の 匂いを残す
網が軽くなる ほどあたたかくて
最後の一個(ひとつ)に 手が触れずにいる
こたつの中で 触れてる爪先
最後の橙 半分こと言う
網の目の空 畳んで脇へ
房を割く指に 白い筋絡む
鶴間の冬は 手がかじかんで
ひとりで剥いた 黄ばんだ爪で
近い火ほど 燃え尽きが早い
それを知る指で 房を数える
剥き終えた皮を 小皿に寄せて
空の網だけ くしゃりと畳む
ひとつ分残した 房は渡さず
明日の私に とっておくから
「この冬のままで」とは 言わずに置いて
爪に滲みた橙 そっと嗅いだ
半分この房を 舌で受け取る
窓の外には 粉雪の白
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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蜜柑のセゾン
Akemi
「蜜柑のセゾン」は、こたつでみかんを分け合う安定した冬の幸福のなかに、終わりの予感を受け取る瞬間を描いたミディアムテンポのシティポップ。
下北沢の冬の夜、引き寄せる網袋、爪で剥く白い筋、皿に分ける房、軽くなっていく袋、そして「半分こ」と差し出される最後のひとつ――温もりに満ちた部屋の空気が、幸福の只中で有限を知る静かな心象を浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、近い火ほど燃え尽きが早いと知りながら、「ずっとこのままで」とは願わず、最後の一房を明日の自分に残して今の一粒だけを受け取る大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、冬の夜のこたつ、みかんの香り、分け合う時間の温度を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
網袋が空に近づくほど温かさが増す部屋で、半分この房を黙って舌で受け取り、爪に滲んだ橙の匂いをそっと嗅ぐ。
「この冬のままで」とは言わず、明日の自分のために一房だけを残す――そんな幸福の有限を受け取る冬の夜を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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