Lyric

悲しい夢をよく見るよ、

飼ってた犬が死んじゃう夢なんだ。

おれは犬を飼ってたことはないんだけど、

まあ夢だからね。

まだあたたかさが残ってるんだ

腕のこの辺に

涙が止まらないよ、どうすればいい？

名前は　ルザ

昔旅したロシアの街の名前をつけたんだよ

・・・いや、どうだったかな。

おれそんな名前の街に行ったことあったかな。

そういう単純なところから気づくんだ、

今見えてるこの世界が夢なんだってことに

ああ目覚める準備を始めた

脳のこの辺りが一斉に、

でもまだ悲しいんだ、悲しいんだよ

死んだルザを抱きしめた

ふわふわの金色の毛、よく弾んだ心臓

嬉しいとちぎれるほどに振っていた

尻尾もだらりと垂れ下がり、

最後に頭を一つ撫でてやろうとすると

よく見ると、ルザには顔がついてないんだ。

かわりに

重たい泥みたいな

影が一枚張り付いていて、

表情がわからない。

醒めていく。

美しいあのひとは、

あなたは醜いんだよと教えてくれた。

そして、部屋の電気を消して

影だけになったおれを抱きしめてくれた。

優しいね。

今、おれはあなたが生まれた

まぶしい街に住んでいます。

醒めていく　夢の終わり

ばらばらにざわめていた身体

すっかり冷えている爪先

出口に朝の光、

夢が醒めていく

骨が軋む　軋む骨

足下の灰が少しずつたしかな土に変わる

枯れていく月、

細い崖と崖のあいだひとすじ雪の道

ああ、あそこの道を

抜けていくと夢の終わり

色のない街

後ろに闇

かなたの街

細い道を

抜ける時

ふいにとなりをすれ違うひと、

なつかしいひと

なつかしいひと

懐かしいこの手

懐かしい呼び声

あ、だけど、顔がないんだね。

でもあなただよね？わかるよ

おれの手を引いて

来た道を逆へ

行こうよ連れてって

ぬるい風が心地いいね、

来た道を逆へ　おれの手を引いて

来た道を逆へ

長い髪がなびくたび好きな匂い

好きな匂い好きな匂い

まっくらだね、

なんも見えないね

歩いて行こう。

心地いいね

待って、何かいる

何かいる闇の中　唸り声　闇の中

吠える声　吠える声吠える声

吠える声だ

犬！

金色の顔のない犬がこちらを見ている

おれはこいつを知っているような気がするが

思い出せないんだ

どっかに消えてくれ！

吠えるのをやめてくれ

目覚めたくないんだ・・・