

まもなく雨が降ります
まもなく雨が降ります
カビくさいバス停で
この声だけが優しい
広告音声が優しい
何も助けてくれないのに
広告音声が優しい
またここに戻ってしまう
夕立前の空気が
永遠みたいに張り付いて
私はまだ
時刻表を見ている
ベンチの裏が湿ってる
ポスターの角がめくれてる
夏の匂いとカビの匂い
喉の奥で混ざっている
バスは10分遅れ
表示はまだ3分前
誰も来ないのに
アナウンスだけ繰り返す
ハッ
ねえ
今の声
好きかも
待っているだけなのに
待たされてるだけなのに
ひさしが少し雨を弾くと
許された気がしてしまう
広告音声が優しい
何も助けてくれないのに
広告音声が優しい
またここに戻ってしまう
ストックホルム症候群
バス停の下で覚える
嫌だったはずの時間に
なぜか名前を付けている
ピンポン
まもなく
傘の骨が曲がってる
足元に小さな水たまり
広告の女の人は
明るい声で笑っている
お得なポイント
新しい生活
私の横で
雨の匂いが膨らんでいく
逃げたいわけじゃない
痛いわけでもない
ただ同じ場所で
同じ声に慣らされていく
バスが来ないことにも
雨が来ることにも
少しずつ
懐いてしまう
ひどい声じゃない
優しい声でもない
でも一人より
ましに聞こえる
広告音声が優しい
カビくさいバス停が光る
広告音声が優しい
夕立がまだ降らない
ストックホルム症候群
待っていることに慣れていく
バスが来ても
乗らない気がしている
まもなく雨が降ります
まもなく雨が降ります
時刻表
ポスター
ベンチ
カビの匂い
嫌だった場所が
また私を呼んでいる
- 作詞者
MASAQUI
- 作曲者
MASAQUI
- プロデューサー
MASAQUI
- プログラミング
MASAQUI

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広告音声がやさしい
MASAQUI
404AMの新曲、広告音声がやさしい。
夕立の直前。かび臭いバス停。誰も助けてくれないはずの場所で、繰り返し流れる広告音声だけが妙に親しく聞こえてくる。
本作はストックホルム症候群をモチーフに、待たされ続ける時間や不快な環境に少しずつ順応してしまう人間の感覚を描いた作品です。
雨の匂い。湿ったベンチ。めくれたポスター。来ないバス。変わらないアナウンス。そのすべてがいつしか安心材料へと変質していく過程を、夢と現実の境界が曖昧なサウンドで記録しました。
嫌だった場所が、なぜか自分を呼んでいる。
そんな説明しきれない感覚を閉じ込めた一曲です。



