Lyric

御機嫌よう

見事な雨の昼下がり

あれまあ泥濘

世にも素晴らしく美しい

わたしの自慢のお庭よ

首尾は如何ほど

それは素敵な

銀の鈴 白い貝殻はありったけ

琥珀の舟が笛吹く

カタツムリの手綱を引き

妖精が歌いながら花壇を踏み荒らす

愛の嘘は土の下

行儀良く並んだ少女達は囁き合い

つと目を伏せた

気取ったノッポの鐘つき番人よ

頬っぺたを駆ける星屑のそばかす

わたしの神様はいずこにおいでかしら

町に立ち混める憂鬱な霧と

つめたい鉄の扉が邪魔をする

今日の紅茶は苦い毒の味

不遜な黄色のドレスは大嫌い

柘榴が落ちて

蝋燭の灯りに浮かんだ宴は乱痴気騒ぎね

影が踊れば

それは果たしてお祝いかお弔いか

誰も知らない

光るパン粉に惹かれた

ブリキ仕掛けの兵隊が

行進する足音を愉快に響かせる

針の森で夢をみた

ねじくれた手紙は

焼けた火かき棒でついて暖炉にくべる

回る世界の天国と地獄が

小鳥は池にザリガニの仔は空に

斧が振り下ろされたらネズミも逆さま

ちいさなメアリに待ちかねた王冠を

いとしいお庭の剪定の時間よ

チョキンチョキンチョキンと

飽かずにチョキンと刈り取る

血と惨劇の悲鳴を啜り続けるお庭

わたしもあなたも真っ赤っか

気狂いのお庭で

おやすみ 良い子や 優しい 土の下