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近年のトラップにありがちなチープなハイハット・ロール(no trap hi-hat rolls)や過剰なオートチューン処理、そして派手なEDMドロップを徹底的に焼き尽くし、1990年代ウェストコーストGファンク(West Coast g-funk)の重厚なDNAと暗黒のシネマティック・オーケストラ、そして初期ブームバップの気怠い膠着を融合させた、逃げ場のない密室の飽和音響です。BPM92-96の地を這うようなスローテンポ。ヴィンテージMoogシンセの図太いベースライン(vintage Moog synth bass)と、レコードのパチパチという針音(warm analog vinyl crackle)の上を、うねるようなMinimoogのリードが縦横無尽に這い回り、重厚なストリングスとミュート・トランペットのスタブが夜のロサンゼルスの不穏な緊張感を構築しています。
歌詞の核となるのは、センチメンタリズムを力でねじ伏せるフラットな現実主義。「成功を収めてすべてを手に入れたはずなのに、午前2時の静寂の中で過去の自分という名の『亡霊』に苛まれる。安易なフッドの英雄譚を完全に拒絶し、ただ『時間の断絶と自己の消失』という冷徹な現実に直面する男の平熱の独白」。Dr. Dreの系譜を継ぐ、冷静でぶっきらぼうな会話調のラップ(DR. DRE cadence)は、残響ゼロの超至近距離で収録。特筆すべきは、2番のサビの手前(Late Structural Deviation)で発動する「隠された仕掛け」。1小節だけが不条理に3/4拍子へと縮み、和声がト短調(G minor)から変ロ長調(Bb major seventh)へ一瞬だけ歪む不穏な時間歪曲の錯覚を植え付けます。最後はフェードアウトを真っ向から拒絶し、隔離されたピアノの不気味な3音のモチーフが未解決のまま減衰(isolated piano motif, unresolved)した直後、プツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。