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Bull Head Emperor, Alone by The Seaに続く古代史シリーズの第3弾『Requiem for black night and earth spiders』が遂に完成。今回は日本の神話などに登場にする土蜘蛛がテーマ。
土蜘蛛は古代において大和朝廷に従わない土豪たちであるという説や、縄文人の生き残りという説、砂金・砂鉄など鉱山資源に従事する人々などであるという説など複数あるが、いずれにしても朝廷から蔑まれてきた人々である。
元来蜘蛛ではなく人間なのだが、時の経過の中、物語などで蜘蛛の妖怪として描かれてきた。
今作では、後世妖怪にまで落とされてしまった人々の悲哀を悲しみのメロディで表現した。そして土蜘蛛が従事していたのが水銀の鉱山と思われるところから畠山はテーマとなるサウンドファイルを水銀に見立て、加工、変調など、様々な手法で演奏した。水銀は常温、常圧で凝固しない唯一の金属元素であり、古代から様々な金属と混和し合金を生成し、ヨーロッパでは古代よりアマルガムと呼ばれていた。形がなく、様々な金属と融和するという特性が今作で理想とした捕らえところがなく、永遠のような反復ではあるが、反復ではないような、形のないメロディというコンセプトに影響を与えている。
また今作のテーマ設定においては3.11以後の福島原発の事故というものが大きく、古代より続く、テクノロジーと自然という対立や、そこで危険な仕事に従事する人々など、故郷を追われる人々の悲哀など、言葉にできない感情が出発点となっている。