壇ノ浦-蒼海の果てのジャケット写真

歌詞

壇ノ浦-蒼海の果て

YOSAJI

壇ノ浦 ― 蒼海の果て ―

寿永四年――春。

長門、壇ノ浦。

海は静かだった。

まるで……

これからすべてを呑み込むことを

知っているかのように。

潮風裂いて 船は行く

赤き旗印 空を打つ

幾千の声 波に立ち

刃の向こうに 朝を見る

都を遠く 離れても

胸に消えない あの日の灯

失うものが 増えるほど

守る名前が 重くなる

風よ吹け

潮よ満ちろ

まだこの腕は

動いている

ならば最後の

その時まで

この旗だけは

降ろさない

進め――!

この旗を海へ掲げよ

命ある限り 戦え

波を裂き 風を斬り

この名を天へ轟かせろ

叫べ――!

たとえ明日がなくとも

今日という日を 焼きつけろ

我らがここに生きたこと

蒼き海よ

忘れるな――!

飛び交う矢羽根 砕ける櫂

潮は紅く 染まりゆく

味方の船が またひとつ

波間の向こうへ 消えてゆく

風向き変わり 潮も変わる

聞こえる声が 遠くなる

勝ち鬨よりも 近くなる

終わりを告げる 波の音

まだ戦える

まだ立てる

そう言い聞かせ

刃を取る

けれどこの海は

知っていた

一つの時代が

終わることを

---

「……そうか。」

「潮が、変わったか。」

「ならば――」

「最後まで、

平家の武者として立とう。」

---

戦え――!

この身が波に砕けても

魂までは 渡さない

燃える命を 刃に変えて

最後の一太刀 振り下ろせ

吠えろ――!

海よ 空よ 風よ聞け

栄華も夢も 消えようと

我らが生きた この時代

誰にも消させはしない――!

---

遠くに見える 小さな影

波に揺られる 幼き御座

あまりに静かな その瞳

何を見つめて おられるか

都の桜か

母の笑顔か

それとも

まだ見ぬ明日なのか

---

「恐れることはございませぬ。」

「この海の彼方にも……

きっと、都はございます。」

沈む夕陽が 海を染め

赤き旗さえ 影になる

あれほど響いた 鬨の声

今では波に 溶けてゆく

友の名ひとつ 胸に呼び

折れた刃を 海へ置く

負けたのではない

終わるのだ

我らの時が

今――

「皆の者。」

「もうよい。」

「武者として生きた。」

「ならば最後も――」

「武者として参ろう。」

---

沈め――!

この身は海へ沈もうとも

誇りまで誰が奪えよう

波よ抱け この魂を

我らが生きた証ごと

さらば――!

都よ 桜よ 懐かしき日よ

夢の続きは 海の底

されどこの名は 風となり

幾千の春を 越えてゆけ

散ったのではない

消えたのでもない

この蒼海に

刻むのだ

我らが生きた

その証を――!

「……静かな海だ。」

「見るべきものは……

もう、見届けた。」

「さらば。」

「……静かな海だ。」

  • 作詞者

    中村いつみ

  • 作曲者

    中村いつみ

  • マスタリングエンジニア

    中村いつみ

  • グラフィックデザイン

    中村いつみ

  • プログラミング

    中村いつみ

壇ノ浦-蒼海の果てのジャケット写真

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    壇ノ浦-蒼海の果て

    YOSAJI

『壇ノ浦 ― 蒼海の果て ―』

**その日、海に沈んだのは、人ではない。
一つの時代だった――。**

寿永四年、春。
長門・壇ノ浦。

源氏と平家、最後の戦い。

赤き旗が潮風にはためき、法螺貝が海に響く。
飛び交う矢、砕ける櫂、轟く鬨の声――。

しかし、激しい戦いの中で潮の流れは変わり、
栄華を極めた平家の時代は、静かに終幕へと向かっていきます。

**『壇ノ浦 ― 蒼海の果て ―』**は、『平家物語』に描かれた壇ノ浦の戦いをモチーフに、平知盛の視点から「滅びゆく者の誇りと覚悟」を描いたシネマティック和風ロックです。

戦いの中で、次第に悟っていく知盛。

守ってきたもの。
共に戦った者たち。
遠く離れた都。
そして、幼き帝――。

失われていくものを目の前にしながら、それでも武者として最後まで立とうとする姿を描きました。

**負けたのではない。
一つの時代が、終わるのだ。**

法螺貝、和太鼓、津軽三味線、尺八などの和楽器と、重厚なエレキギター、オーケストラサウンドが交錯。

前半の勇壮な戦いから、戦況の変化、静かな覚悟、そして壮大な終幕へ――。

激しい戦場とは対照的に、物語が進むほど知盛の心は静かになっていきます。

これは、勝者の物語ではありません。

そして、ただ敗者を悲しむ物語でもありません。

栄華も、名声も、命さえもいつかは消えてゆく。

それでも――
**人が生きた証と誇りは、時代を越えて残っていく。**

蒼い海に消えていった一つの時代と、
その最後を見届けた武将の心を描いた物語です。

ぜひ、**最後の波音が消えるその瞬間まで**お聴きください。

アーティスト情報

YOSAJI Records

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