上田真育のジャケット写真

歌詞

恵 (2026 Remastered)

上田真育

風が捲る 一枚の記憶

頁の隙間に 君の声が残る

呼べば遠のく 名の輪郭

沈黙だけが 確かだった

戻れないことを 誰より知りながら

心だけが 置き去りにされた

幾度となく 書きかけては

名を消した封筒が まだ机にある

ペンの先で 震える未練

言葉にした瞬間に

壊れてしまう 想いがあった

だから何度も 黙った

言葉とは 時に残酷で

伝えたいほど 遠くなる

宛てのない詩を 今日も誰にも

見せず 胸に仕舞う

送れなかった手紙だけが

時を留めたままの記録

君の知らない僕が

君のいない場所で

なお 君を思っていた

南の島の夜風に

輪郭を滲ませた日々

文化でも景色でもない

見失っていたのは 僕自身だった

小さな画面の森の中で

小さき者のふたりは 並んでた

言葉より深い静けさで

過去だけが 確かに生きていた

「また何処かで」と

君は軽やかに笑った

もしそれが 最後と知っていたら

僕はもっと 不器用に泣けただろうか

送れなかった手紙には

時間も記憶も 詰め込めない

ただ 願いのような沈黙が

紙の白に 沈んでいった

冷静と情熱のあいだで

言葉にならぬ感情だけが

名もなく 火のように灯り

今も僕の夜を 照らしている

帰国の夜、君だけが居ない街

警備服に 身を包む生活

地に足をつけた 今の自分が

君に出会っていたなら

その問いは 答えを持たず

ただ、ときどき 僕を追い越す

そして何も言わず また

背中の向こうで 消えていく

人は変わる

でも変わることが 間に合わぬ夜もある

今の僕を 君が見たなら

少しは安心してくれるだろうか

真面目に生きるという選択を

今ようやく 手にした僕に

君がいた世界は もうないけれど

その影が 静かに残ってる

送れなかった手紙には

さよならも 愛してるもない

ただ 僕独りの祈りが

宛名もなく 綴られて

風に任せて 消えていった

差し出せなかった理由は

後悔か、配慮か、それとも弱さか

夢の中でだけ 投函するたびに

誰かが静かに 首を振っている

送れなかった手紙の数だけ

君と語り続けていた

君が忘れていても

この静けさの中でだけ

僕は確かに 生きていた

それはもう 愛とは呼ばない

でも確かに 灯りだった

僕が見たことの無い 君の新しい幸せを

心からずっと 願い続けている

──送らなかったことでしか

守れなかったものがある

そのことに 気づいた今は

心の中に その想いをしまうだけ

Yeah

Yeah... ありがとう、また何処かで!

Yeah

  • 作詞者

    上田真育

  • 作曲者

    上田真育

  • プロデューサー

    上田真育

  • マスタリングエンジニア

    上田真育

  • グラフィックデザイン

    上田真育

  • ソングライター

    上田真育

  • プログラミング

    上田真育

上田真育のジャケット写真

上田真育 の“恵 (2026 Remastered)”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

上田真育のアルバム『上田真育』、各種ストリーミングサービスにて配信開始。

本作は、上田真育がこれまでに発表してきた楽曲を収録した初のアルバム作品です。

三国志、歴史、信仰、都市生活、警備業、社会への違和感、個人の記憶、そして表現者としてのまなざし。
一見ばらばらに見える題材は、すべて「人は時代の中で何を見つめ、何を感じ、何を残すのか」という問いへとつながっています。

「龍の娘」「臥龍覚醒」「龍刀一閃」では、歴史の中に生きる人物たちの誇りや宿命を描き、「夜間警備」「情報遮断」「表現者」「no label」では、現代社会の片隅にある孤独、緊張感、違和感を切り取る。
さらに「恵」「沈黙の空」「星月夜とヴィンセント」などでは、祈り、喪失、美意識、静かな再生が音楽として刻まれています。

本作は単なる楽曲集ではなく、上田真育がこれまで見てきた世界、感じてきた痛み、そして形にしてきた表現の記録です。
歴史と現代、個人と社会、沈黙と叫びが交差する、ファーストアルバムにふさわしい集大成的な一枚となっています。

アーティスト情報

"