Lyric

不毛な歩行 道路 この同一性の泥を掬い上げる

瞼がおもく おののく煉獄の色 イントロ

強大な虚無だ どうするか 道ゆくひとの袖をひく

時間に殺されてしまう完全に

終わらせない晩餐 野蛮なる荒地 不即不離の月をみた

満潮の海に細く岩 鳥の足 ネジ 輪廻

息をして生きていた人は肉 憎まれながらも行く

残された陸に水が浸みて自らを生贄にして右手

の指の腹はだれかのための陸をつくる

イースター ケルゲレン ゴフや粟島 セントヘレナ

目と目で合うくちなわの女 永遠に呼ぶなその名は

失命のリフレイン 幾重にもなる与奪 アストラル 死者の数

否応なく未来を焼く 虫や灰がとまる ダイアゴナルに動くシヴァの目

時間 飛べ いま 飛べ リバー 時計塔 足をとめる走者

きょうがきょうであることを呪う そうだ

垂れ流すマイバース 寒気 氷河にまじる肉片

復元する過去は未来 名もなき灰がとまる肩

おれの性をさがすためのサーガ

クローゼット 上着のボタンがおちる 誤嚥する床に

求める硬質なリパルス 嫌悪する物体や他者 細い指 不甲斐なさ

正常な感情のつかいかた ひとの呼びかた

老いた山に置いてきたこころ 死者と冷蔵庫

時計 ロボット 逆にまがる関節 バケツにたまる泥

エンドロール 絶命の直前ではじまるこの空想

予測不能 殺す駆動 無造作におかれた無告 動く 鋭く

救おうとする される手先 宿る永遠の潔癖

酩酊期に逸れた道 汚れた市場で売る血液の価値

抜いてさす部屋の鍵や注射針

夕方に夜が染み込んだガーゼ 傷口をかわかして

剥いだ瘡蓋 まだ剥ぐな ただ待つか回すかあやのわすか

穴の数が増える腕 噎せ返るひとの声 詩をも止める余命

おのれこの聡明なる世をえらぶ極刑

髭を剃り顎を切る 溜まる新聞紙 佳作 トロフィー

誰にも読まれずに箱の隙間に詰められたアンソロジー

微睡みの祖母に悪戯をする悪たれ

頑であれ 若く わけもなく暴れまわりやがれ やがてまた雨