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『月影のゆりかご』は、深夜の都市を静かに漂うようなグルーヴィーでメロディックなエレクトロ・トラック。低〜中音域の落ち着いた男性ヴォーカルが、まるで夜の街灯の影に語りかけるように、穏やかでソウルフルに響きわたる。歌詞は無く、インストゥルメンタルに近い構成ながらも、声そのものが一つの楽器として機能し、内省的なムードと豊かな情感を空間に染み込ませていく。
リズムはおおよそ105BPMとミディアムテンポで、心地よく揺れるビートが終始流れる。ビンテージ感のあるアナログ・シンセサイザーと、ファンキーなベースラインが絡み合い、レトロフューチャーな音世界を形成。全体に広がるリバーブとステレオエフェクトにより、音像には立体感と浮遊感が加えられ、まるで月光に包まれた都市の片隅を歩いているかのような幻想的な没入感を与える。
そのサウンドは、一昔前のクラブジャズや80年代のエレクトロポップを思わせながらも、構成やミックスには現代的なセンスが光る。エッジの効いたシンセリードがアクセントとなり、静かな夜の空気に心地よい刺激を与える。一方でドラムトラックはタイトにまとめられ、ゆったりとしながらも確かなグルーヴを刻み続ける。
この曲の最大の魅力は、“語らないことで語る”そのスタンスにある。明確なメッセージを伝えるのではなく、音そのものに感情や物語を託すことで、聴く者の心の状態に合わせて様々な解釈が生まれる余白が用意されている。誰かとの別れを思い出す人もいれば、静かな夜の街をただ歩く風景に重ねる人もいるだろう。
『月影のゆりかご』というタイトルが示すように、この楽曲はまさに“夜のゆりかご”。日常の喧騒から少し距離を置いて、自分自身の内側に優しく揺られる時間を与えてくれる。聴くたびに少しだけ気持ちが整理されていくような、そんなセラピー的な側面も持つ。
深夜のドライブ、ひとりで過ごす夜、ベッドに横たわる前の数分間――そんな静かな時間にそっと寄り添い、都市の孤独と夢のはざまを彩る、現代エレクトロニカの美しい一曲である。
JV.akawyeth|次世代を牽引するハイブリッド・アーティスト “サウンドオラクル(音の預言者)”の異名を持つ、JV.akawyeth。未来の音を読み、今を奏でる存在として、テクノロジーと感性を融合させる音の錬金術師である。 幼少期から音楽に魅了され、10代でギターにのめり込み、やがてテクニカル系ROCKバンド「IKACHOP」のギタリストとして頭角を現す。23歳から26歳までの3年間で、多彩なリフと圧倒的な演奏スキルを武器に、数々のライブステージを席巻。その後、バンド活動を離れ、自らの音楽的可能性をさらに拡張すべく、独学でDTM(デスクトップ・ミュージック)を習得。デジタル領域での表現力を身につけ、サウンドクリエイターとしての進化を遂げる。 現在は、AIや映像テクノロジーを駆使し、音楽と視覚表現を横断するマルチメディアクリエイターとしても活動する一方、自身が代表を務めるクリエイティブカンパニーでは、音楽制作は一切行っていない。 彼の信条は「拘束された環境からは、本当に自由な表現は生まれない」というもの。音楽はあくまで、自分自身の中にある衝動から生まれるべきだと信じている。 一方で、その会社では多国籍な人々と日常的に関わる環境にあり、そこで触れる多様な文化・価値観が、彼の創作のインスピレーションとなっている。国境や言語、ジャンルに縛られない感覚が、彼の音楽に独自の深みと広がりを与えているのだ。 時には自らヴォーカルも務め、低く響く声と空間をねじるような空気感で、リスナーを音の深層へと誘う。 彼の音楽は、単なるジャンルの集合体ではない。ストーリーテリングと音響設計を巧みに交差させた「体験型サウンド」であり、静寂の中から始まり、緻密に構築され、やがてドラマチックに爆発していくその展開は、聴く者の心に余韻を残す“感じる音楽”として多くの共感を呼んでいる。 ハードウェアからソフトウェア、アナログからデジタル、肉声からAIまで—— あらゆるメディアを自在に操り、音の未来地図を描き続ける男。 それが、JV.akawyethだ。