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「星の海 ― 人新世のRefugia(避難所)」
「星の海、人新世のrefugia」は2023年10月にイスラエルの防衛相がパレスチナの人々に対して発言した「人間動物」という言葉への応答ともなっている。
このような言葉は1889年のパリ万国博覧会での「human zoo」の例や、ホロコーストの約2年前の1939年10月にナチスドイツがT4作戦(安楽死プログラム)を承認し、「生きるに値しない」とされた心身、知的に障害ある人々約20万人が殺戮された暴力の歴史を響かせている。
「人間動物」という言葉は、人新世における多くの危機、環境破壊や分断や差別、植民地主義、戦争などの根底にある思考――他者を人間以下の存在として支配・搾取や抹消の対象にするマインドセット―を映し出している。
だからこそ、私たちは言葉を取り戻す必要がある。ただ生き延びるためではなく、私たちの世界に対して感覚を開き深く感じ取り、関係性のなかで「どう在るか」を見つめ直し、そこから立ち上がるものに形を与える手段として。
私は精神障害の当事者として生きてきた。私の表現は、社会的な周縁化と、北海道に暮らす先住民族・アイヌの人々との深い関係の中で育まれてきた。
この作品において「人間動物」は、貶められた存在ではなく、希望の担い手――宇宙船地球号を共に旅する他の様々な生物種たちの仲間として捉えた。アイヌの思想「アイヌネノアンアイヌ(人間らしい人間)」に着想を得て、私は彼らをRefugia(避難所)を目指す渡り鳥のように描いている。Refugiaとは、ケアと抵抗、そして私たちが再び繋がりあうための場所だ。
**「星の海」**は、そうしたRefugiaのメタファーだ。意識的で思いやりある存在たちの、表現の光に支えられて成り立つ空間。
このRefugiaとは、「生成しつつあるものたちの生態系」なのだ。
素材について
• NASAの公開映像・音源(「ペール・ブルー・ドット」、アポロ11号など)
• 山道サキさんによるアイヌの神謡「チュプカワ」
• 抵抗の象徴としての作家自身の心音
• 二風谷でiPhone 15により撮影された白鳥の渡りの映像
• 北海道の動物たちや福島の原発地域の写真
• 自作ピアノ曲と環境音(波、セミ、鳥の声)
• 英語テキストと手描きの絵
All music composed by Aoi Sasaki(佐々木 あおい)
Sound engineer Hajime Fukuda(福田 基)
北海道を拠点に活動する絵と音の表現者。統合失調症の経験と生来のアニミズム的世界観から「いのちという祝福」を描くことを目指す。 2022年Sapporo city jazz park jazz live contest finalist( バンド銀ノ揺らぎ、ピアノ/作曲)