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若さ」そのものを表現できるというのは、若者の特権であるのだが、 現在20歳そこそこという立川の3ピース・バンド、くらげ計画の3人は、 決してそのような道は選ばない。
90年代オルタナ流儀の静と動が渦を巻き、エリザベス・フレイザーの影が浮遊する如き 音世界は、確かに流行りのスタイルとは違うのかもしれないが、同時にそれは、 時間軸などは意味を成さない、2019年を生きる若者が持つ特権的輝きでもあるのだ。
みずき(Gt)がかき鳴らすのは、感情が溢れ出すギターの轟音と、危なっかしい揺らぎが 散りばめられたアルペジオ。うねるようなフレーズを紡ぎ、確かな存在感を放つ ひなた(Ba/Vo)のベース。緩急自在のゆーじ(Dr)のドラムスは、自由奔放な弦楽器隊を 優しく諫めるように、時にぶつかり合うように、くらげ計画のグルーヴを成立させていく。
「ここではない何処か」にある夢幻的な美に対する憧憬と、醒めた諦観が漂う''リアリスト''の 一面が同居する歌詞は、今まで以上に自覚的なメロディを歌うひなたの声によって、 更なる凄みを帯び始めた。本作は4曲入りのEPながら、密度の濃い楽曲群が揃っており、 十分にリスナーを満足させるであろう。
3人のジェリーフィッシュが「はじめてみるゆめ」とは、一体どのようなものか? それは聴き手それぞれが、色々と想像してみて欲しい。 井上 光一(音楽ライター)
2014年結成、幾度かのメンバーチェンジを経て現在は Ba/Vo.ひなた、Gt.みずき、Gt.わいと、Dr.うちだの 4人組として東京を拠点に活動しているバンド。 ドリーム・ポップやシューゲイザーの影響を独自に昇華したKuragekeikakuが掲げる"Waltz-Alternative rock"は、緩急を使い分けた、しなやかなバンド・アンサンブルを軸として、時に奇妙で時に歪な光と闇のコントラストを巧みに描き出している。 2023年6月に約4年振りのリリースされた楽曲「うつくしいひと」はYouTubeでの動画再生数が1万回を超えるなど、日本のインディーズシーンで注目を集めている存在だ。