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蜃気楼の向こうで

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「蜃気楼の向こうで」
朝、スマートフォンを開く。
タイムラインには誰かの成功が並んでいる。
いいねの数、フォロワーの数、正解らしい言葉たち。
気づけば自分も、誰かの定規で自分を測っていた。
正しくあろうとするほど息が詰まる。
答えを集めるほどポケットが重くなる。
それでもまだ、足りない気がしている。
この曲は、そういう毎日の中で立ち止まった瞬間から生まれた。
現代に生きる僕たちは、あまりにも多くの「正解」に囲まれている。
SNSが普及し、誰もが発信できる時代になったことで、
比較はより速く、より深く、より静かに僕たちの中に入り込んでくる。
怒りや嫉妬を感じるたびに、自分を責める。
感情すら、正しくなければならない気がしてくる。
でも、怒りも嫉妬も、通り雨に過ぎない。
雲が過ぎれば、空はまだ青い。

この曲のテーマは「手放すこと」。
正解を追いかけるのをやめること。
自分を守るための鎧を、そっと脱ぐこと。
それは諦めではない。
むしろ逆だ。
手放した瞬間にはじめて、僕たちは自分の足で立っていたことに気づく。
答えは最初から、ここにあった。
探し続けていた「自分らしさ」も、ずっとここにいた。
追いかけるほど遠ざかるものがある。
答えとは、そういうものかもしれない。
蜃気楼のように、近づくほど消えていく。
けれど手放した時、不思議と世界が静かになる。
街の声が遠くなる。
深呼吸ひとつで、自分の輪郭が戻ってくる。

曲の中盤、こんな問いが浮かぶ。
もし自分という境界線が、少しずつ溶けていくとしたら。
雨上がりの水たまりに、君の顔と僕の顔が映っている。
同じ空を、同じように映している。
その事実だけで、なぜか笑えた。
自分と他者の境界が曖昧になる瞬間、そこには争いも比較も存在しない。
ただ、同じ空の下にいるという静けさだけがある。

間違ってばかりでも、ここまで来た。
その事実は、誰にも奪えない。
だからこそ、そのままでいい。
完璧じゃなくていい。
正解じゃなくていい。
答えはきっと蜃気楼で、たどり着けないからこそ、僕たちは歩き続けられる。
終点のない旅の中に、本当の自由がある。
世界はまだ、君を終わらせない。

ネオンの海で息を止めていたあの夜から、この曲はゆっくりと歩いてきた。
そしてたどり着いた場所で、やっと息を吸えた。
正解なんてなくてもいい。
蜃気楼の向こうで、朝は待っている。
疲れた夜、この曲が誰かの深呼吸になれたら、
それでいい。

アーティスト情報

  • AQUA BLUE

    「青の深淵から、日常の向こう側へ」 東京の喧騒に潜み、作詞・作曲から、ボーカル、グラフィック、マーケティングまで、全工程を独りで完結させる孤高の音楽プロデューサー。 2025年夏。平穏な日常の中で、眠っていた音楽的才能が突如として開花。本人の困惑を置き去りにしたまま、その旋律は宇宙の脈動と共鳴し始めた。 放たれるのは、清冽な「アクアブルーの波動」。透明感あふれるサウンドは、聴く者を青い深海から銀河の果てまで一瞬で運び去り、静謐な未来のビジョンを提示する。 しかしその本質には、既存の秩序を鮮やかに裏切る「至高のユーモア」が共存している。真顔で創り出される諧謔的な楽曲は、困惑の先に奇妙な救済と涙をもたらす。 理論を超越した直感と、コーヒーが冷める間に一曲を編み上げる圧倒的な創造の速度。 昼間はビジネスの海を泳ぐ一介の組織人として、夜は無限の音世界を統べる観測者として。 この劇的な二面性こそが、AQUABLUEという現象の正体である。

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