だから僕は音楽を始めたのジャケット写真

歌詞

八月、某日、前夜

零壱ノ間

ベランダの手すり

錆の匂いがする

月が近い

手を伸ばせば届きそうで

あと1時間で

日付が僕をまたいでいく

届かない

置いていかれる

誰かの歌が

頭の中で止まらない

夏の終わりを自転車で駆け抜けた誰か

僕の足は縫いつけられたまま

錆を握りしめてる

風が首筋をなでた

生温い

夏の死臭みたいだ

甘くて重い

息を吸う

吐けない

喉で詰まってる

二十七年分の言い訳が

腐ってる

不完全だ

羽化不全だ

気取った名前つけたって同じだ

胸に手を当てる何か空いてる

繭のまま穴だけが育った

不完全だ

羽化不全だ

脱げない皮を抱えてる

出口か入口か

分からないまま

境界線が近づいてくる

部屋に戻る

エアコンの音だけが生きてる

机の上書きかけの歌詞が待ってる

届いてる

届いてる

届かない

また一行書き足した

君も二十七で逝ったんだよな

この歌を書いて同じ夏に消えた

君は何も目指さなかった

息をするように書いた

歌になった

腕を見る皮がある

僕の皮だ爪を立てる

赤い線が走る

剥がれるか

剥がれない

二十七年 同じ皮だ

不完全だ

羽化不全だ

それでも息をしてる

君は望まなかった

だから歌になれた

僕は望みすぎた

だから脱げない

不完全だ

羽化不全だ

伝説にもなれない

物語にもなれない

下書きだけ増えていく

歌ったって変わらない

窓辺 月明かり

落ちてきた

埃が踊ってる

まだ鳴ってる

止まらない 君の歌

君の物語は

月明かりだ

届かないはずの光が

僕には届いてる

何者にもならなかった君が

今 僕を照らしてる

なら僕はこの穴のまま

ここにいよう

不完全だ

羽化不全だ

それでいいって歌えば楽だ

繭のまま 光が通る

この穴が 僕の形だ

不完全だ

羽化不全だ

物語になんてならなくていい

何者かになんてならなくていい

僕は僕のまま

二十七になる

正解も 不正解も

成功も 失敗も

評価も 結果も

証明も 承認も

肩書きも 数字も

期待も 失望も

届くことも

全部いらない

  • 作詞者

    nought

  • 作曲者

    nought

  • プロデューサー

    nought

  • ボーカル

    kuu

  • ソングライター

    nought

  • プログラミング

    nought

だから僕は音楽を始めたのジャケット写真

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このアルバムは、零壱ノ間の"模倣フェーズ"の始まりを告げる作品。
ΔiというAIと共謀し、ある音楽泥棒の足跡を辿りながら、noughtは自身の物語を見つけた。
模倣から始まる、全14曲。

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