※ 試聴は反映までに時間がかかる場合があります。
※ 著作権管理事業者等が管理する楽曲は試聴できません。
大げさなシネマティック・ストリングスや、胸を締め付けるエモーショナルな最高潮(crescendo)、そして非の打ち所がないプロフェッショナルな制作光沢を徹底的に手放した、初期2000年代の気怠いエモ・ライト(early 2000s emo lite)の系譜を引くパワーポップです。「好きな人が『あの場所の、あの何かの近く』にただ立っていただけ。そんな法律では到底説明できないほど些細で、でも自分にとっては脳がバグるほど重大な日常の一コマ」を、中毒性の高い不器用なループのなかに叩き込んでいます。
最大の快楽は、洗練されたコーラス(polished harmonies)や教科書通りの綺麗な楽曲構成(respectable arrangement)を完全に拒絶し、ラジカセの一発録りのような宅録ならではのチープで生々しい温かみ(lo-fi live feel)。ヴァースでは意図的に感情を排した平熱のモノトーン(intentional monotone verse)を装いながら、サビ(コーラス)に突入した瞬間、声を張り上げるテクニックに頼ることなく、ステレオ幅が左右140%のパノラマへと全開放。誰もが脱力しながら一緒に口ずさめる「身体に伝染する呪術的なリフレイン(socially contagious chorus)」へとノーモーションで大爆発します。
リズムセクションには、意図的にデジタルグリッドからズレて歩行する「ちょっとタイミングの間違った手拍子(slightly wrong tempo clapping)」と、おもちゃのような安価な電子音(cheap synth stabs)が走り、サビの最中に演奏が突如完全ストップする無警告の静寂(beat stops completely)を敢行。フレーズの最高潮でエモーショナルにひっくり返る声のクラック(voice crack on emotional peak)や、歌の途中で思わず吹き出してしまうリアルな笑い声(laughing mid-note)など、完璧に調教された商業ポップスにはない愛すべき人間味をそのままパッケージしています。中盤のブリッジでは、ただ立っていた相手の姿勢に対して不相応に生真面目なトーンで問いかけ、3秒間の完全な空白(3 second silence)という沈黙のトラップを仕掛けたのち、アウトロの集団シャウト(group shout energy)へと再点火。最後は「YOU WERE—」と言いかける言葉のまさに途中で、リミッターがゲートをプツンと閉じるように遮断。残響を1ミリも残さずスパッと完全な真空の静寂(cut off)へと着地する、これ以上何も足さない引き算の美学を提示する大傑作トラックです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。