或ル少年少女ノ「シ」 (Part "Death")のジャケット写真

歌詞

死の意思の記録

ユキニフル

八月二十日、赤く染まる西日を拒絶

外出を自粛 自主的に続く 防護服と化した自室

暇潰し 無料 FPS 手当たり次第に銃を取る

非現実世界 緩く続く殺し合い

日常同様 無能 役立たずに居場所はなくて

ただ疲れて酔って 被弾する心無い罵声

浴びせられ慣れて 無神経 何度も催した吐き気

ふいに蝉の鳴き声 ただの耳鳴りで

夕立 街の苛立ちに注ぎ ささやかな自傷行為

雨に濡れたくて 向かう表通り

人の群れにぶつかり 逃げるように行き先を探して回り

「はぐれたやつから死んでいくぞ」

ゲームじゃなくこの世界の忠告だったか

乗り込んだ電車内 誰も本なんて読んでない

自分のことは棚に上げて それだけで勝手に憂う未来

その実 ただの醜い思い上がり 意志薄弱のなりたがり

放置した未完の物語 こんな面倒も今日で終わり

ここに書き留めるのは

死の意思の記録に 用意する自供

ここで書き終えるのは

付き纏う孤独に 儚む価値すらない希望

誰かが都合よく 語らぬよう

僕が生きるのを やめる理由を

僕が僕を殺したい その訳を

ここに残した 意思の記録

傷ついた、諦めた、弱かった、逃げられなかった

そんなんじゃなくて そんなんじゃなくて

そんなんじゃなくて ただ ただ

懐かしむ昨日 所詮、人生の模造

そうやって濁る僕自身の命を愚弄

繰り返した侮辱 その馬鹿らしさに苦笑

最後に見上げた何も変わらない曇り空に

繕う術すらない僕の苦悩

伝える価値すらない今日の訃報

でも ここに書き留める

死の意思の記録

  • 作詞

    宏川 露之

  • 作曲

    ein himinn

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「少年少女の「シ」には理由らしいものはなくて─」
少年少女はなぜ傷つくのか。なぜ泣いてしまうのか。なぜ生きていられなくなるのか。
その理由の、さらにその根源を、ある少年少女の姿から描いた、ユキニフル5th Novel Album。

<自由な死者>を標的にした号令が繰り返される楽曲『フリーデッド』、
物語はそのタイトルと同じ病名について語られるところから始まる。
<フリーデッド症候群>と呼ばれる、自殺願望を抱く少年少女たちがある施設に集められる。少年ソウヤはそんな集団のうちの一人として目を覚ます。しかし彼にはそこに至るまでの記憶がない。
何一つわからないソウヤに、ただ一人微笑みかけてくれた少女。ソウヤは彼女と自分との関係性を探し出そうとするが──。

楽曲には、ソウヤ自身の遺書をポエトリーリーディングとして構築した『死の意思の記録』、ソウヤの退屈な日々からの逃避行をテーマにした『学期末ロードサイド』、表題曲となり、少年少女それぞれを表現したツインボーカルによる歌唱が特徴的な『或ル少年少女ノ「シ」』などを収録。
誰しもが経験する、少年・少女時代。そこに渦巻く儚く危うげな感情を突き詰めた一作。

アーティスト情報

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