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お決まりのストリングス(orchestral strings)や、涙を誘うバラードの過剰演出(weeping ballad production)、そして後半の劇的なキーチェンジを徹底的に焼き尽くし、別れの「原因」そのものをコンテクストから消去したミドルテンポのヘビー・ブリットポップです。Oasisのデビューアルバム『Definitely Maybe』の遺伝子を継承するBPM100前後の駆動感。ヴァースでは哀愁を帯びたクリーンなアルペジオ(clean arpeggiated guitar intro)と、ベースの歌うようなメロディックなカウンターラインが絡み合い、サビ(コーラス)の突入と同時に、分厚いディストーションの壁(rhythm guitar crunch)へとノーモーションで雪崩れ込みます。
歌詞の核となるのは、当事者ではなくただの「目撃者」として淡々と事実を記録する労働者階級の抑制された視点。「玄関に直角に揃えられていた靴、金曜日まで洗えなかった口紅のついたマグカップ。彼女は何も言わず、ある火曜日にただそこにいなくなった」。初期リアム・ギャラガーを彷彿とさせる、あえて感情を排した地声(chest voice)でのフラットな歌い回し(flat affect betrayal)は、フレーズの後半に向かって息がすっと抜けていく未完結のフェードアウト(phrasing decay)を伴い、持続音での僅かなフラット(pitch flatness)が生々しいリアリズムとなって耳元に張り付きます。中盤のブリッジで「17回も聞き逃したかもしれない」という平熱の自嘲を経たのち、最終サビで音圧がピークに到達。最後は感動的なエンディングに逃げる自動フェードアウトを拒絶し、「And that was all」の最後の呟きが途切れたまさにその瞬間にリミッターがゲートをプツンと遮断し、真空へと着地する引き算の美学の極致です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。