夜露のパララックスのジャケット写真

歌詞

夜露のパララックス

Akemi

多摩川の土手 風が背を押す

世田谷の屋上 三脚の影

星へ向けた筒を 覗いてごらん

冷たいノブに 指をかける

あなたは袖で 接眼を拭く

油の匂いが 指から星へ

順番に覗く 一つの視野を

同じ光を 近い角度で

きしむノブ回せば ぼやけた光

視野の真ん中に 星が滲んで

遠い光が 手の中へ降りる

息を止めたまま ノブに触れてる

「次はきみが」と ノブを渡される

鏡筒の先 私が決める

視野の縁から 星を導いて

円の真ん中で 光が止まる

大和の空に 滑走路の灯

届かない光を 遠くから見た

近づけない夜に 目が慣れて

今夜は自分で 光を寄せる

ピントが夜露で 白く曇る

星がゆっくりと 縁へ流れて

指が冷たくて ノブから離す

近づいた光が また遠ざかる

「また明日も」とは 言わずにおいて

接眼の曇りを 袖で拭う

たたんだ三脚 金具の軋み

まだ冷たいノブと 遠い光

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

夜露のパララックスのジャケット写真

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    夜露のパララックス

    Akemi

「夜露のパララックス」は、遠いものを自分の手で近くに引き寄せ、距離がひとつ縮まる冬の入口の夜を描いたミディアムテンポのシティポップ。
多摩川の土手を上がる風、団地の屋上に据えた三脚、きしむピントノブ、順番に覗く一つの視野、そして夜露で白く曇る接眼レンズ――望遠鏡の小さな円の中へ降りてくる遠い光が、近づく瞬間と、また遠のく気配を同時に映し出す。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、遠い光を遠くから見ることに慣れて育ちながら、今夜は自分の手でピントを回して距離を縮める側に回る、選ぶ意志を持った大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、冬の夜、遠い街の灯り、届かない光への距離感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

視野の縁から星を導き、円の真ん中で光が止まるその瞬間、遠かったものが確かに手の中へ届く。
やがて夜露がレンズを曇らせ、光がまた縁へ流れても、「また明日も」とは言わずに相手の癖をなぞって三脚を畳む――そんな名前をつけない近さを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

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