※ 試聴は反映までに時間がかかる場合があります。
※ 著作権管理事業者等が管理する楽曲は試聴できません。
演劇的なフレーミング(no theatrical framing)やドラマチックな感情の起伏、そして空間を埋めるオーケストレーションを徹底的に焼き尽くし、1990年代末の東京の片隅(1999 Tokyo)に実存した「劇的な理由なき喪失感」を形にした、極限まで抑制されたアートロックです。BPM76の静止したようなスローテンポ。残響を極限まで絞った極小の密室音響(dry room capture)のなか、時折フレットを擦るノイズ(string noise)を伴う1本のクリーンギターと、3拍目のブラシスネア(brushed snare only on beat 3)のクリック音だけが、音と音の間の圧倒的な空白を際立たせています。
歌詞の核となるのは、不幸でも幸せでもないニュートラルな空白。「普通の夜に、ただ電気をつけて座り、テレビもつけずに音のない部屋にいる。悲しみも怒りも訪れないまま、ただ時間だけが静かに剥がれ落ちていく」。あえてファルセット(裏声)のドラマに逃げないチェストボイス(chest register dominant)を貫く女性ボーカルは、ピッチ補正を完全に拒絶。文脈の途中で突発的に現れる高域の不安定さや、「た」「で」「こ」といった硬質な子音のアタック、フレーズの語尾を伸ばさず±1半音の揺らぎ(±1 semitone drift)を伴ってぶつ切りにする歌い回しが、生々しいリアリズムとなって耳元に張り付きます。最後は解決のコードを完全に拒絶し、言葉の途中でカミソリのようにプツンと音が完全遮断(instant cutoff)される、引き算の美学の極致を提示する大傑作です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。