Lyric

あなたが残したのは　何だっけ

窓を染める紫　やけに終末のよう

あなたが放った声　辿っても

輪郭は朧げだった　いつかの悪夢のよう

街灯が照らす橙色

陽は沈みだすと速かった

淡々と悟る現在地

あの日と今日の間違い探し

冷たい季節が流る街で

あなたと眺めた時計塔

切り取った痛みに目を伏せると

この部屋に残る　然して綺麗でもない花

揺らいだ

気道に詰まるのは　何だっけ

痛みがいま報せた　部屋にはもう独りだけ

あなたの言葉　薄れていっても

引き金を探している　忘れてしまわぬよう

造形の狂ったスピーカーは

眩む目に因るものだった

閑散と渇く現在の前で

枯れた花の意義を探した

街は平等に時間を落とした

あの日の記憶を奪って

残像の隙間に　零す呼吸は

あの花と同じ　白く揺らいでは消えていった

美しく歪んでいた　思い出の現像

その目はずっと遠くを見て

ガラス細工のあなたは器用な笑顔で

褪せた花束を受け取った

目を落とすこともしないまま

冷たい季節が巡る前に

またその声が聞きたくて

枯れ切った花と　奇麗な造花

並べて飾れど　どちらも正しい

痛い陽射しも　薫る紅も

するり　矢のように過ぎ去って

あなたのことを　いま静かに思い出しながら

最後の花を棄てた