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1960年代後半の日本の歌謡曲・叙情歌の黄金期をベースに、ドビュッシーに代表されるフランス印象派の和声感覚(ハーモニック・ランゲージ)と美空ひばりの初期バラードのような魂の熱量を融合させた、BPM72の極めて優美でメランコリックな昭和歌謡です。楽曲の底には、現代のゲリラ豪雨とは異なる「時間をかけて静かに降る昭和の雨」のフィールドレコーディングが静かに敷かれ、アコースティックギターの繊細なアルペジオと、霧雨のように儚いきらめきを放つバイブラフォンのアクセントが交錯します。ヴィンテージな日本のAMラジオ放送を思わせる、中音域に温かみのあるレトロな録音質感が、独特のノスタルジーを醸し出しています。
ボーカルは、どこか遠い目をして物憂げに、しかし確かな説得力を持って囁きかける、吐息混じり(ブレスィ)な女性の声。ヴァースの切ないマイナーキーから、サビ(コーラス)に差し掛かると一転して関係調のメジャーキー(平行調)へと鮮やかにシフトし、胸が締め付けられるような哀愁の美を構築します。歌詞は、スマートフォンに追われ効率化された現代に生きる主人公が、かつて誰かを待つためにただ雨に濡れていた「立ち止まることの豊かさ」を振り返る内省的な物語。派手なドラムやエレキベース、シンセサイザーなどの近代的な要素を完璧に排除し、ストリングスの淡い輪郭だけで感情の揺らぎを表現した、静謐で息をのむほどに美しい芸術歌曲です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。