

神泉の冬 灯(スタンド)の淡い円
引き出しの奥 木箱の蓋
便箋の束 折り目が深い
取り出した重さ 机の角
木箱の側面 ねじを回す
キリキリと巻く 夜の底が深い
蓋を開けば 澄んだ高音
当時の輪郭 部屋に揺らぐ
一音目 澄んだ高さで立つ
過去の彼の声 空気を切った
当時の海風 部屋を満たす
息を浅くして 最後まで聴く
ねじを巻き切る 減速の音
一音ずつ離れていく 間隔
別れ方と同じ 止まり方
蓋から指を 離さないで聴く
大和の夜 終電の音
同じ音で 誰かを置いてきた
選んだ方角は 同じまま
ありがとうは 言わずに置いた
最終音 糸のように細い
ゼンマイの底 力が抜けてゆく
蓋を閉じない 止むまで耳を貸す
ありがとうは 今夜も口にしない
最後の余韻 空気に残る
蓋を閉じる ゆっくり指を引いて
引き出しに戻す 元の闇へ
「ありがとう」とは まだ書かない私
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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冬夜のオルゴール
Akemi
「冬夜のオルゴール」は、過去の音を最後まで聴き終え、感謝を口にしないまま記憶を引き出しに戻す冬の深夜を描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉のアパート、机に落ちる淡い灯の円、引き出しの奥に眠っていた木箱のオルゴール、折り目の深い古い便箋、そしてキリキリと巻かれていくねじ――別れ方とそっくりに減速して止まる音が、当時の輪郭を静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、過ぎたものを懐かしむためではなく、自分の選択の音色がいまも同じ音域にあることを確かめるために過去の音と向き合う大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、冬の夜、贈り物の音楽装置、別れの形と機械の物理が重なる瞬間を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
ゼンマイが伸びきり、糸のように細くなった最終音が止むまで、蓋から指を離さずに聴く。
闇に戻したあとも「ありがとう」だけはまだ書かない――そんな、言葉にしないことを選び続ける成熟した別れの余韻を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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