

錆びた鉄骨 月明かりで泣く廃工場
くぐもった足音だけ 夜更けのノイズを刻む
埃の匂いに咳込みながら 机を探る指先
針金で組んだ 鉱石ラジオがまだ脈を打つ
ON にした瞬間 砂嵐が銀河みたいに舞い
短波の向こうから 忘れた声が「ただいま」と笑う
僕らは 壊れた周波数で
何度でも 夜を呼び戻した
ノイズまみれの 君の「もしもし」が
星屑より はっきり胸で鳴る
真夜中の送電塔 赤いライトが瞬き
頭上を掠めるカラスが 薄い月を引き裂く
手紙みたいに ちぎれたラジオ日記
「明日晴れ」だけが インクの青を残す
チューニングノブが 錆で固まっても
君の笑い声だけ 周波数を飛び越える
僕らは 捨てたつもりの未来で
まだ 今日をアップデートしていた
ノイズの中で 逆再生する
「さよなら」を 巻き戻したんだ
もし 電源を切れば 世界は静寂を取り戻すだろう
それでも スピーカーの振幅みたいに
もう一度だけ 君の名を震わせたい
僕らは 壊れた周波数で
何度でも 夜を録音した
ノイズが消えても 耳の奥では
君がまだ 「もしもし」と生きている
- 作詞者
nought
- 作曲者
nought
- プロデューサー
nought
- ギター
nought
- ドラム
nought
- キーボード
nought
- ボーカル
kuu
- バイオリン
nought
- ソングライター
nought
- プログラミング
nought

零壱ノ間 の“鉱石ラジオの亡霊”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
鉱石ラジオの亡霊
零壱ノ間
古いテクノロジーに触れると、時間の流れが少しだけ歪むような不思議な感覚があります。この曲は、壊れたラジオから聴こえてくるはずのない声を追いかける、一夜の物語です。ノイズまみれの記憶の中から大切な記憶を拾い上げるように、誰かの心の奥で眠っている声に、この周波数が届くように。