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王道のヒップホップにありがちな単一のラッパーを際立たせるソロ・スポットライトや、スポーツ特有のナショナリズムを煽る安易なスタジアムアンセム、そしてポップなメロディック・フックやプログラムドラムのみの単調なビートを100%パージ。8万人の群衆がひとつの生命体として同期し、言語が徐々にチャント(呪術的なノイズ)へと変貌していく集合意識のエッジを描いた、BPM104のポリリズミック・スタジアム・ラップ(polyrhythmic stadium rap)です。「スタジアムを埋め尽くす8万人の呼吸の同期、勝敗の記録ではなく全員が同時に狂気を迎えた瞬間のドキュメント。主宰するMC、呼応する巨大な観衆、そしてその底を這う不気味なゴーストボイスという『3つの異なる音域』が、お互いの言葉の語尾を補完し合いながらひとつの巨大な怪物を形成していく歪なカタルシス」を、脳髄を直撃する呪術的なポリリズムのなかで知性的かつ内省的に鳴らし切っています。
最大の快楽は、均一なクリーンプロダクションや平坦なグリッドを完全に拒絶し、ヒップホップの骨組みの下で変則的なワールドパーカッション(world percussion under hip-hop skeleton)が蠢く、剥き出しの引き算の音響設計。マイクの振動板に唇が圧着する2cmの超至近距離で捉えられたMCのインナーモノローグから、サビ(コーラス)に突入した瞬間、ステレオ幅が左右140%のパノラマへと全開放。言葉の文字数を極限まで詰め込んだ音節の応酬が、「WHEN THE CHAOS IS THE DATA」というフックへ向かってノーモーションで大爆発(フルパワー・デトネーション)します。後半のサードセクションでは明確なソロイストの概念が消滅し、肉声とノイズの境界線が完全に決壊。終盤のブリッジでは、すべてのパーカッションが突如として消滅する無警告の引き算(whisper-rap bridge)を敢行し、そこから再びスタジアム全体の熱量が再点火します。最後はスタジオの自動フェードアウトに逃げることなく、熱狂の残響がそのまま広大なスタジアムの環境音(stadium ambience)へと融解し、プツンと完全な真空の静寂(silence)へと着地する、個性の消失と祝祭をドキュメントした大傑作アート・ミニマリズムです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。