シュガーキューブ・カノンのジャケット写真

歌詞

シュガーキューブ・カノン

Akemi

重い木のドアを 押せば鈴が鳴る

窓際の席で 本を閉じる人

栞は今日も 真ん中の頁

私はコートを 椅子の背に置く

紙の包みを 爪で開けるとき

同じ仕草を 隣で見ている

シュガーポットの 銀のトングが

触れる手前で 私が引いた

シュガーキューブを 二つ沈めて

スプーンを置いた 拍が重なる

別々のカップ 違う豆なのに

近い甘さが 拍に揺れている

カップを口元に 同じ角度で

湯気の向こうの 横顔がぼやける

言葉にすれば 砂のように溶ける

舌の上の角 ゆっくり崩れる

名前を呼べば 形が決まる

形が決まれば やがて溶け切る

木目をなぞる 指は引かない

呼ばないと決めた 今日の私

シュガーキューブが 二つ溶けきって

先にスプーンを 置いたのは私

カップを返して コートを腕に

「また来週」と 彼の声が低い

頷いて返す ドアの鈴を押す

井の頭通り 三鷹側へ寄る

舌に残る甘さ 角はもうない

「来週も」とは 言わずに置いてゆく

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

シュガーキューブ・カノンのジャケット写真

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    シュガーキューブ・カノン

    Akemi

「シュガーキューブ・カノン」は、言葉にすれば消えてしまう両想いの予感を、名前をつけないまま持ち帰る土曜の午後を描いたミディアムテンポのシティポップ。
井の頭通りの古い喫茶店、窓際で本を閉じる人、紙に包まれた角砂糖、銀のトング、そして別々のカップに落とされた同じ数の角砂糖――整えられた静かな時間の中で交わされる、言葉にならない一致が、始まりの気配を淡く浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、惹かれていることに気づきながらも、それを口にすれば関係が形を持って溶け始めると知っている大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都会の午後、喫茶店の空気、触れそうで触れない距離感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

スプーンを先に置くのも、ドアの鈴を押すのも、すべて自分の意志で選ぶこと。
「来週も」という一言を言わずに、舌に残った甘さだけを連れて席を立つ――そんな名前のない関係の始まりを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

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