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暗闇。それは一見終わりの様に感じるが始まりでもあり、存在の反対に実在しない物でもある。
アルバム「Title」は言葉で説明するには少しばかり荷が重いので、簡易的に説明するのが妥当だろう。
やはり今作の彼にも流行りという言葉は当て嵌まらず、「五つノ綴り」や「近未来200X」など、独自の時代解釈や独特なヒップホップの表現方法に思わず息を呑む。
大半のトラックメイキングを自らがこなす中、USからChance the Rapper、Mac Millerなどのプロデュースや、Ace Hashimoto名義での活動も行うbrandUn DeShay、Kendrick LamarらTDEの初期作品からJ.Coleとのプロデュース経験を持つWillie B。MCとしてもThe Ichiban Don名義で活動している。そして日本からは5lackのキャリアを語る上で絶対に外せないBudaMunkが参加。その楽曲内でのやり取りに彼のレベルを十分に感じる事が出来るだろう。
今作ではゲストMCも多数招いており、M4「稼がな」ではSick Teamの活動でもお馴染みの盟友・ISSUGIとの久しぶりの共演が胸を熱くさせる。M10「己知らぬ者たち」では「Wonder Wall」に続き、PUNPEEとの兄弟再共演が実現。普段のキャッチーなイメージとは違ったPUNPEEの魅力が引き出されている楽曲とも言える。M13「Bad End」では、kZmと共にニュータイプなジャンルを披露しており、タイトルの通り、終わりと同時に新しい始まりを期待させてくれるエッジの効いた楽曲に仕上がっている。
そして、今作で注目すべきは楽曲のみならず、一際目を奪われてしまうのがアルバムジャケットである。Instagramでのアプローチがきっかけで制作が実現したと言うarisa kumazawaによる絵も、アルバムの内容を具現化し語ってくれている。
もはや、5lackは特定のジャンルを利用せずに[それ]を表現してしまっている。[それ]は人間の経験が生み出す物であり、[それ]に対して今までどれだけ身心共に向き合いながら[それ]を消化してきたのかが重要なのではないかと感じさせられる。もはや表現するのではなく溢れ出す物なのかもしれない。
消えゆく中で産まれるもの。このドラマに何と名を付けようか。
5lack a.k.a 娯楽 東京・板橋出身のラッパー/ビートメイカー/プロデューサー。1stアルバム『My Space』は多数のメディアに取り上げられ、アワードにも選出され話題になる。2007年より、兄・PUNPEEとその友人のGAPPERとともにヒップホップユニット・PSGとし活動。2011年にはBudamunk、ISSUGI(MONJU)とともにヒップホップユニット・Sick Teamを結成した。 2015年には、地上波で放送されたNTT ドコモ「2020年東京オリンピック・キャンペーンCM “Style ’20 “」に『東京』の楽曲を提供。現在もコンスタントに作品をリリースしており、2021年から2022年に掛けて発表したシリーズプロジェクト『白い円盤 Series』は記憶に新しい。2021年には、フジロック・ホワイトステージに出演するなど、音楽フェスにも積極的に参加。2023年9月、歴史ある東京・日比谷公園大音楽堂にて単独公演を開催。見事に満員を納めたショーはそのキャリアから幅の広い層を魅了し圧巻のパフォーマンスを披露した。そして、2024年4月にはLEXを客演に迎えた「5xL Feat. LEX」を収録したアルバム『report』をリリース。今も尚、日本のヒップホップのあり方を問い続け、発明しようとするその姿勢に賛同する者は多く、リスナーのみならず他アーティスト自体にも影響を与えて続けている。
Takada Ongaku Seisaku Jimusho