残像のオペラグラスのジャケット写真

歌詞

残像のオペラグラス

Akemi

茶沢通りを 抜けた小屋で

膝の黒いケース 留め金を押す

いつもの席は 端から三番目

冷たいレンズに 指が触れる

舞台の彼が 袖をまくる

鍵盤に指を 落とす前に

リングを回せば 像が揺れて

最初の一音 息を止める

ピントが合う 手が先に回してた

丸い視界に 彼だけ残る

聴きに来たはずの メロディが遠い

横顔ばかり 追いかけている

周りの席も 拍手も消えて

丸く切り取った 視野の中

譜面をめくる 彼の手の先

私の指が リングを締める

金網の向こう 遠い灯り

近づけないまま 目を凝らした

引き寄せて見る癖 あの頃の指

触れない灯りは 鮮やかに残る

ピントを外す グラスを下ろせば

丸い視界が 闇に溶ける

鳴りやむ拍手 席が立ちはじめ

横顔はもう ぼやけて遠い

留め金が ひとつ パチンと鳴る

丸い視野を 鞄に仕舞う

暗い客席 みんな立ち上がる

瞼の裏に まだ 残像

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

残像のオペラグラスのジャケット写真

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    残像のオペラグラス

    Akemi

「残像のオペラグラス」は、音楽を聴きに来たはずが、自分の目が彼だけを追っていたと気づく夜を描いたミディアムテンポのシティポップ。
茶沢通りの古い小屋、膝に置いた黒いケース、冷たいレンズに触れる指先、丸く切り取られた視野、そしてピントが合った瞬間に浮かぶ横顔――「いい演奏だから」と自分に言い聞かせてきた習慣が、ひとつの気づきへと静かに反転していく夜の心象風景を浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、確かめにいくのではなく気づいてしまう瞬間、引き寄せても触れられない距離をあえて自分の手で下ろす大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都会の小さなホール、レンズ越しの視線、遠い灯りへの未練を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

ピントが合った像をあえてぼかし、留め金を閉じて丸い視野を鞄に仕舞うささやかな仕草。
それでも瞼の裏に焼きついた残像は消せない――そんな名指ししないことを自分で選んだ夜の余韻を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

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