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帰りたくない夜がある。
騒いでいたい夜がある。
耳を傾けていたい夜がある。
無力無善寺のすぐ手前、高円寺のガード下におかしな店がある。
原価崩壊を心配するレベルの兎に角安いインド・ネパール料理屋。
店内には日本語ペラペラの現地人が立ち回り、片言なオーダーを飛び交わしている。
ナン・インドカレーその他もろもろ他国料理が揃っている。
なのに、なのに、何故か店名が"まつり太鼓"なのである。
カタカナ英語が氾濫する世界で、他国料理店が堂々たる日本語を掲げているのだ。
然もさらに妙なのは、普通の日本の居酒屋にも存在しないような通なメニューが揃っている事。
梅水晶(サメの軟骨を梅肉で和えた料理)を置いてあるアジア料理屋が何処にあろうか。お通しは枝豆だし。
そんなぶっ飛んだ店はすぐに私のお気に入りになり、無善寺の帰り道に屡々寄った。
店員にも顔を覚えられた。
或る日、いつものように店に入りドリンクメニューを見ながら迷っていると店員にニヤニヤしながら聞かれた。
「蜂蜜シークァーサー?」
此処は紛れも無く、私の居場所である事に気付いた。
地獄の詩世界と秋田弁ブルースを唄うシンガー。じゅんさい王国(旧・山本町)出身。2023年頭より弾き語りを本格始動。代表曲は『犬の川』で、その強烈な内容から出禁・共演NG・発狂事件を引き起こす等の数々の逸話を持つ。「東北の情念的な系列」と評される文学的かつ厭世的な楽曲は、各所で高い評価を得ている。またもう一つの持ち味である秋田弁ブルースも、地元地方新聞で取り上げられ頓に注目を集めている。精神疾患の再発を機に、療養を経て2026年より拠点を秋田に移し活動再開した。
哥処 墨林庵