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アルバム『biotope』シリーズの楽曲から数えて、ちょうど15曲目となるのが、この『cloud and twilight』だ。前作『eternal lands』に引き続き、シングルとしてボーカル曲にチャレンジし、今回もSarkooによる主旋律のみならず、すべてのパートを彼女に歌ってもらった。

「VUCA」のような概念が日常的に消費されるようになり、まさに、その複雑な社会を前に、すべてを解き明かしたいという傲慢な好奇心が湧く一方で、その代償として、大きな不安に襲われ続け、その不安に打ち勝つことが、この社会で生きる術だと自分に信じさせているように感じる。

同時に気候変動は確実に歩み寄り、人は戦争をいくつも起こし、メディアがそれをメガホンのごとく伝えている。そこには狂気と破壊しかなく、「高度に効率化」したはずの社会は何の役にもたっていない。

しかし同時に、それらの言説が凝縮されている「都市」を離れ、一歩、山の中に入ると、そこには静寂と暗闇があり、当たり前のように、雨や雪、風やせせらぎ、雷雲や夕焼けが、都市で起こっている喧噪を知らないかのように存在し、日々繰り返されている。

人はこの両方に触れる時、結局のところ、持つ知識や経験と、周りにある道具を使い、真剣に考え抜き、真面目に前に進むしかないという当たり前の帰結に辿り着くのである。

永遠と思われたこの一連の営みは、一体あと何世代繰り返すことが出来るのだろうか。私たちにできることは、人の「治癒力」を信じて次の世代の実践をただ見守ることだと思う。思い込みによる強要や欺瞞は決してあってはならず、ただ自由と優しさを信じて実践を見守ることが残された唯一の選択肢のように思えてならない。

『cloud and twilight』は、そんな現代を背景に、私たちが仰ぐ空と、その下で生きる私たちの将来を考えながら作曲した15作目となる。ぜひ、多くの人たちに親しんでいただけらこの上なく幸せだ。

作曲家
高柳寛樹
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