しおりのアダージョのジャケット写真

歌詞

しおりのアダージョ

Akemi

神泉の冬 書棚の奥へ

一冊の洋書 彼に借りたまま

訃報の後 棚を確かめている

引き出す重さ 机の上へ

頁を開き 古い空気が立つ

押し花のしおり 薄紙に挟む

二年前の春 真鶴の海辺

指でそっと押さえる 形のまま

薄紙の縁を 指で持ち上げた

二年前の波音 部屋に立つ

息を浅くする 持ち上げた過去

真鶴の桜 まだ早かった

薄紙の裏 万年筆の文字

「真鶴、桜まだ早かった」

いつかの私に 残した一行

片道の手紙 頁に挟まる

大和の家 通夜の夜の沈黙

母は裾の汚れを 落としていた

悲しみより先に 手が動いて

私も指で 頁を押さえる

薄紙を戻す 頁の中へ

二年前の波音 頁で凪ぐ

息を吐き出し 本を閉じる

真鶴の桜 もう咲き終わった

本を書棚へ 元の位置へ

棚の奥に 返さなかった本

窓辺に立って 冬の夜の中

「覚えている」 まだ言わない私

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

しおりのアダージョのジャケット写真

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    しおりのアダージョ

    Akemi

「しおりのアダージョ」は、訃報の数日後、書棚から借りたままの一冊を引き出し、頁に挟まれた押し花のしおりとその裏の万年筆の一行を発見する冬の夜更けを描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉の机のスタンド、棚の奥から引き出した洋書、頁に挟まれた薄紙、二年前の真鶴の海辺で押された花、そして薄紙の裏に残された万年筆の一行――返さなかった本が、いつかの自分に宛てられた片道の手紙だったことを、静かに浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、別れの大きな身振りではなく、押し花のしおりを指で押さえ、本を元の棚に戻す手の動作だけで喪失と向き合う大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、都会の冬の夜、書棚と万年筆、二年前の海辺の記憶、頁の間に挟まれた時間を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

大和の家で祖母の通夜の夜、母が裾の汚れを落としていた手の動きを、今のAkemiの指が頁を押さえる動作でなぞる。
本を返さないまま元の棚に戻し、窓辺で「覚えている」とは口にしない――そんな別れに必要な手の角度だけを残す夜を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

  • Akemi

    1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。

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