

右へ曲がります
みんなで曲がります
一人だけ遅れます
それで世界がずれました
群知能
群知能
会社のフロアを流れていく
群知能
群知能
社会の中で揃っていく
コピー機の音に合わせて
エレベーターが口を開く
私はまだ
同じ速さで歩いている
朝の改札
人の流れが綺麗すぎる
鞄の角が同じ方を向いて
靴音だけが正確
左の人が止まれば
右の人が避ける
誰も考えていないのに
全部うまく動いている
ふっ
ねえ
これって
私も?
タイムカードの光
緑に一つ点滅
おはようございますが
自動で口から出てくる
群知能
群知能
デスクの列に並んでいる
群知能
群知能
メールの件名が揃っている
一つだけ変なスペース
一つだけずれた鍵括弧
私はそれを見つけてから
まばたきの数が増えた
カチ
カチ
誰かが椅子を引いた
会議室のガラスに
同じ顔が七つ映る
うなずくタイミング
メモを取るタイミング
ホワイトボードの隅に
消し残しの線がある
なぜかそこだけ
消しても消しても残っている
一人が笑えば
二人目も笑う
三人目が笑う前に
私だけ息を止めた
その瞬間
テーブルの水が傾いて
世界の方が
私を間違えた
あれ
私
どこで習ったんだっけ
みんなと同じ向きに
帰ること
群知能
群知能じゃないかも
会社のフロアが波打っている
群知能
群知能だったはず
社会の列がほどけていく
コピー機が笑う
エレベーターが下がる
タイムカードがまだ光る
私だけ一つ
逆に歩いている
右へ曲がります
左へ戻ります
一人だけ止まります
みんながまだ動いています
一つだけずれたまま
世界が終わる音がした
- 作詞者
MASAQUI
- 作曲者
MASAQUI
- プロデューサー
MASAQUI
- プログラミング
MASAQUI

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群知能、ひとつだけ逆に歩く
MASAQUI
群知能、ひとつだけ逆に歩くは、整列された日常の中で発生したわずかなズレを記録した楽曲です。
改札を抜ける人の流れ。エレベーターの開閉。タイムカードの点灯。会議室のうなずき。
誰も指示していないのに成立している秩序の中で、ひとつだけ違う方向を向いてしまった瞬間を描いています。
最初は静かで規則的。しかし違和感の発見を境に音程やリズムは少しずつ崩れ、世界そのものが形を失っていきます。
社会に適応することと、自分であることの境界線を曖昧に溶かしていくローファイシティポップです。



