

夜十時の 下高井戸
階段の隅に 革の色
屈んで載せる 掌の重み
振り向いても もう誰もいない
必要なだけ 開く二つ折り
名前と区間と 月末の日付
挟まれていた 映画の半券
先月私も 観た題名
預ければそれで 済む親切と
改札で渡せば 朝に間に合う
知らない人の 明日の三分
どちらで守るか 革を閉じる
区間の初めは この駅からで
きっと朝には ここを通る人
定期がなければ 立ち往生の
八時の改札 目に浮かぶよう
落とした朝を 私も持ってる
東京行きの ホームの鞄
あの朝の寒さは まだ手にあるの
渡し方くらい 自分で選ぶ
七時五十分 改札の脇
革の色だけ 見えるように持つ
気づいて駆け寄る コートの人に
「これ 昨夜の階段に」とだけ
何度も下げる 頭に手を振り
それぞれの線へ 朝は流れる
コートのポケット 同じ半券に
触れて改札を 私も抜ける
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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拾い物のソナタ
Akemi
「拾い物のソナタ」は、冬の夜に拾った革の定期入れが、見知らぬ誰かとの一度きりの遭遇へと変わっていく朝を描いたミディアムテンポのシティポップ。
夜十時の駅の階段、革の二つ折り、名前と区間と月末の日付、挟まれた映画の半券、そして七時五十分の改札――窓口に預ければ済む親切と、朝に間に合う親切のあいだで揺れる心の動きを静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、定期を落とした朝の心細さを自分も知っているからこそ、制度に任せず、渡し方を自分で選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、冬の駅、朝の改札、通勤の人波のすれ違いを描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
同じ映画を観たことは言わないまま、革の色だけが見えるように持って改札の脇に立つ。
一度きりの手渡しを終え、自分のポケットの半券に触れて朝の改札を抜ける――そんな一回性の遭遇の余韻を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



