Lyric

1日が終わりに差し迫ったその頃

どっかの誰かが愛の絶頂を迎えているその頃

戦争によって右足をなくした兵士が

亡くした友達のことを思い涙しているその頃

マスをかき終わり世界の全てがどうでも良くなって

どうでも良くなってもうどうにでもなれって思っていたその頃

テレビをつけるとバラエティ番組が流れ

大物MCはご機嫌にようやくチャンスをもらった中堅芸人に

話を降ったのだが

滑り散らかしたその芸人を他の共演者が

なんとかフォローしてやってやっと収録が終わって

きっとその芸人は帰りのタクシーで俯き加減に

運転手にこう言うのだろう。

「俺もうダメかも知んねえなぁ」運転手は慰めの代わりとして

「端数はいいですよお客さん」なんて言うから

その芸人はやっぱ生きてりゃいいことあるんだなぁー

なんて思えばいいものを

「こんな端金削られても一緒だよ」

なんて思いまた狭い心に罪悪感を感じるのでした

さて、話を戻しまして1日が終わりに差し迫ったその頃

マスをかきおわり世界の全てがどうでも良くなったその頃

結局幸せなんてそれを無くした時にしか実感できないんだろうなぁ、と

朽ち果てたベットの上でやはり女もいねぇし、友達もいねぇし

今日も職場で怒られてそれでも明日も仕事に行がなきゃなんねえし

数時間経てばベットから起きて仕事着に着替え

クソだるい朝日の吐き気と共に

クソうるさい目覚まし時計のアラーム音と共に

また幸せとは程遠い一日の幕が上がるわけです

「バカ、何言ってんだよ、それが幸せってもんだろう」と

病室で寝ている余命幾ばくかの患者さんは

愚痴をこぼした看護師に対してそんなことを言うのですが

彼女もまた、子供ができて男に逃げられ

絶望の淵にあったわけですから

「そうですねぇ」と頷きながらも心の中では

「あんたの方がよっぽど幸せだよな」なんて思い

またそのことを同僚に「偉そうに説教されたよ」

なんて愚痴をこぼすのでした

結局のところ私たちは平凡な幸せでは飽き足らず

無いものをねだりをし駄々をこねる子供のように

幸せという原型のない宝石のようなものを欲しがり手を伸ばし

そして掴んだと思えばそこには何もなくてまるで神隠しのようで

「やはりそんなものハナからなかったのだろう」と

こう思うのが人間の定めなのであります

勝手に7日間しか地上で生きることのできない

蝉のことを不幸せだと決めつけ

産卵後すぐに死を迎えるシャケのことを不幸せだと決めつけ

そして自分自身のことを何よりも不幸せだと決めつけ

「はぁ、私も幸せになりたいなぁ」などと

幸せの真ん中にいるくせしていかにも同情を求め泣きじゃくる

幼稚園児のように日々を過ごしているわけです

たとえばこれが昔

牢獄に閉じ込められた盲目の詩人の朗読であったとしても

誰も見聞きしないくせに

ましてやそれを書いているのが私でありますから

これはまるで中学二年生が書いた

以下にも厨二病くさいポエムの様なものをリリックだと言い張り

「これって音楽なの？」と言われ

「いやいや、トラックがなくでもこれは音楽なんですよ」と言い張り

「こんなもの大衆ウケはしないですよ」と言われれば

そこまでかもしないが

トラックはなくともドラックより気持ちよくなれる

深夜高速をぶっ飛ばすトラックのような爽快的音楽であるということを

自負しており

これは落語であるとか、早口言葉であるとか

アナウンス教材であるとかではなくて、

不可思議ワンダーボーイのパクリだとかMOROHAのパクリだとか

はたまた古舘伊知郎のトーキングブルースのパクリだとか、

そんなことを言われましても

またこんなものどうせ売れなさそうな

どうせ最後まで聞いてくれなさそうな

SNSで発表しても拡散もいいねもほとんどされないような

こんな歌を歌い

いつしか絶対に売れる、いつしか絶対に売れる心に誓いながら

今日も幸せのありかを探しに行く

ある夏の一日の戯言にしかすぎないのでありますので

今回はこの辺にしておきまして

あなたの孤独な夜に寄り添う1人のラッパーよだか

以後お見知り置きを