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この楽曲は、刺激的な言葉で注目を集めるための物語ではない。
「誰にも言えない」というアーティスト名が示す通り、社会の中で声を持たないまま生きている人の内側を、静かに、逃げずに描いた作品である。
主人公は、自身の選択や過去を美化もしなければ、被害者として単純化もしない。
そこにあるのは「事情」や「言い訳」ではなく、結果を抱えたまま今日を生きている一人の人間の視点だ。
サビで繰り返される言葉は、世間が貼るラベルそのものでもあり、
同時にそれを自分の言葉として引き受け直す行為でもある。
ニュースの一行、噂話、匿名の正義――
それらが切り捨ててしまう「その後の人生」が、この曲の本当の主題だ。
後半に進むにつれ、ドラマは起きない。
あるのは薬を飲み、朝の光を浴び、誰にも買われない時間を生きるという地味で確かな継続。
それこそが「終わっていない」という唯一の証明になっている。
この曲は、同情を求めない。
赦しを強要しない。
ただ、見る側が勝手に終わらせてしまう視線に対して、
「まだ生きている」という事実だけを、静かに突きつける。
これは告白ではなく、宣言でもなく、
日常の記録だ。
そして、その日常を「ちゃんと生きる」こと自体が、
この楽曲における最も強いメッセージである。