

誰も通らない 獣道
枝を分けて 進んだ午後
光の粒が 揺れるたび
遠い音が 聞こえた気がする
苔むした 白い鍵盤
蔦のからまる 譜面台
こんな場所に どうしてまだ
あなたは音楽を残したの
触れた指に 冷たい記憶
眠る時間が 目を覚ます
森に響く このカデンツァ
風がページを めくっていく
眠っていた 鳥たちまで
空へ舞い上がる メロディー
誰も知らない この場所で
消えなかった あなたの歌
木漏れ日の中 揺れていた
小さな祈りのように
傾いた椅子に 腰を下ろし
途切れた楽譜を 指で追う
読めないページの その先に
名前だけが かすれていた
星のコードで 木々がざわめき
月の和音で 光が踊る
伸ばしたペダルの余韻へ
鹿が静かに 振り向いた
ここにいたの?
待っていたの?
言葉よりも
先に始まる何か
森に響く このカデンツァ
星のしずくが 降り注ぐ
忘れられた 季節たちが
優しくほどける ハーモニー
あなたがいた この場所で
僕は今 この音を受け取る
風の向こうへ 消えそうな
その微笑みに触れた
あなたが残した和音たちを
僕が夜明けまで奏でられたなら
森に響く このカデンツァ
月が静かに 滲んでいく
別れも告げずに眠った歌
その続きを歌う メロディー
響きわたる この森の中で
僕は今 この歌を奏でるんだ
残響の音の その倍音にのせて
朝の鳥が 歌い出すよ
振り返ると ピアノは
ただ光の中にあった
- 作詞者
葉山リナ
- 作曲者
葉山リナ
- プロデューサー
葉山リナ
- ボーカル
葉山リナ

葉山リナ の“森のピアノ”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- 1
君がいた夏は
葉山リナ
- 2
好きっていったら終わっちゃうかな
葉山リナ
- 3
その翼の光は夜空に向かって
葉山リナ
- 4
September Wind '86
葉山リナ
- 5
夏果ての雷光
葉山リナ
- 6
この小さな空の下
葉山リナ
- 7
朝顔の恋
葉山リナ
- 8
ありがとう
葉山リナ
- 9
この風はどこまでも届くから
葉山リナ
- ⚫︎
森のピアノ
葉山リナ
港町の夏。 朝顔に水をやる朝。 飛行機を見送る夜。 九月の風が吹いた街の記憶。 遠くなった故郷の空。
葉山リナのアルバム『君がいた夏は、』は、過ぎ去った時間の中に残る景色を集めた作品です。
恋の始まりも、言えなかった言葉も、叶わなかった夢も、感謝も、祈りも。 それぞれは別々の物語でありながら、人々の想いをつなぐ糸のように。
アルバムタイトルの読点「、」には、その続きを聴く人に委ねるという意味を込めました。
夏の終わりの風のように。 誰かの記憶の中に、そっと残りますように。
アーティスト情報
葉山リナ
葉山リナの他のリリース



