

三茶の路地裏 夕方五時半
奥の席 いつもの位置に着く
カップの底 角砂糖の音
隣の席 赤鉛筆が走る
ドアベルがチリン 誰かが店へ
一瞬だけ 耳が動きを止める
「ブレンドをひとつ」 彼じゃない声
紙の音に 戻していくはずが
カップを持つ手 ドアの音に揺れた
ベルの音 他と違う響き
振り向かないと 決めている肩
紙の上に 戻せない一拍
ドアベル また鳴って若い声
肩の力が ふいに緩む
「待っていた」と ようやく気づく
答えはまだ カップの底に沈む
大和の家 玄関の音を聞く
父 伯父 御用聞きの違い
育てた耳が 今夜も同じ
東京の店で また聞き分ける
カップを持つ手 もう動かない
ベルの音 同じ響きのまま
振り向かない肩 目を上げない
耳の知り合いの距離を選ぶ
窓際の席へ カップを移す
夕日が落ちる コーヒーは冷めた
紙の音も ドアベルもそのまま
「聞き分けてた」 まだ言わない私
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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黄昏のドアベル
Akemi
「黄昏のドアベル」は、夕方の喫茶店で耳だけが誰かを聞き分けてしまう瞬間と、それでも振り向かないと決める静けさを描いたミディアムテンポのシティポップ。
三軒茶屋の路地裏、夕方五時半の奥のテーブル、角砂糖の音、隣の席を走る赤鉛筆、そして開くたびにチリンと鳴る真鍮のドアベル――同じ響きを持つはずの音の中に、ひとりの来訪だけを聞き分けてしまう自分の耳が、心象の輪郭を静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、待っていたと気づいてしまった事実を抱えながらも、口にすれば距離を詰める誘いになると知って、目を上げないという選択で間合いを保つ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都会の夜、喫茶店の空気、聞こえる音と聞こえない言葉のあいだに揺れる心象を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
ドアベルが鳴っても振り向かず、冷めたコーヒーを窓際の席へ静かに移す、そのささやかな手つき。
言葉にすれば失われてしまう距離を、耳の中だけにしまっておく――そんな成熟した気づきを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



