

冬の水道 手首まで冷えて
やかんを置いた 青い火の輪
出がけに一度 ひねって確かめ
鍵とコートと 江戸川橋の霜
「忙しいんだ」の 二週目に入る
受話器の奥に 知らない笑い
比べてしまう 先週の声と
ダイヤルを戻す 指が重たい
一度訊けば 済む夜のことで
訊けないかわり 栓が増えてく
二度で済んでた 指が三度に
青い火よりも 私が揺れる
金曜の朝 玄関を出て
階段なかばで 引き返す足
締まっている栓 分かっていても
三度目の指を 途中で開く
夕方のチャイム 五時に走って
元栓と鍵を 確かめる係
つまづく前に 火を消す癖で
あなたの火加減は 見ないでおくの
確かめる癖は 火の元にだけ
使うと決めて 神楽坂下る
訊かない問いに 火は移さない
土曜が来たら 私から選ぶ
夜の台所 つまみをひねれば
青い火の輪が ひとつで足りる
沸いたら火を消す それだけのこと
音まで青い 夜の台所
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

Akemi の“火加減のエチュード”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
火加減のエチュード
Akemi
「火加減のエチュード」は、訊けない問いのかわりに増えていくガスの元栓の確認を、冬の台所に重ねて描いたミディアムテンポのシティポップ。
冬の朝の水道、やかんの下の青い火の輪、受話器の奥の知らない笑い、階段なかばで引き返す足、そして締まっていると分かっている栓に伸びる三度目の指――二度で済んでいた確認が三度に増えていく朝が、疑念の重さを静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、一度訊けば済む問いを口にできないまま栓の回数に変えて溜めながらも、確かめる癖の使いどころに自分で線を引く大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、冬の台所、電話、都会の坂道を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
締まっている栓に伸ばした三度目の指を、途中で開くこと。
訊かない問いに火は移さないと決めて神楽坂を下り、夜の台所に青い火の輪をひとつだけ灯す――そんな静かな線引きを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
Akemiの他のリリース
nanayon music



