

改札を引き返す 土曜の足
登戸の駅 川へ続く道
木の桟橋 時刻表を見る
「夏のうちに」だけ 自分に言う
桟橋に立つ 川面に夕の色
隣に文庫 同じ便の人
半歩譲られた 礼を一度だけ
文庫の表紙は 見ないまま並ぶ
船頭の櫓 最初の一漕ぎ
水を切る音で 息が抜ける
隣の息に 勝手に重ねる
言葉はないまま 櫓の音が続く
対岸が近づく 横を見ない
櫓の音を追う 川面に広がる弧
隣の文庫 角を指で押す
文庫の表紙は 視界の外
言葉が浮かぶ 櫓の音に紛れる
「いい音」を呑み込む 櫓に重ねて
隣の指 文庫の角で止まる
櫓の拍子だけが 名前より近い
船頭の櫓 最後の一漕ぎ
水音が止む 息が整う
隣の息に 重ねたまま止む
言葉はないまま 別の道に向く
対岸の道 夕の風が低い
ポケットで半券 指で押さえる
「いい音」だけ 喉に置いておく
櫓の音を持ち帰る 夏の夕
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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渡し舟のソネット
Akemi
「渡し舟のソネット」は、夏の夕方の渡し舟で同じ便に乗り合わせた見知らぬ人との、名前を交わさないままの出会いと別れを描いたミディアムテンポのシティポップ。
登戸の駅から川へ続く道、木の桟橋、時刻表、隣に座る文庫を持った人、そして船頭が刻む櫓の音――対岸へ渡るわずかな時間に流れる無言の距離が、定義しないまま終わる関係の静けさを浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、相手の名前も知らないまま櫓の音にだけ自分の息を重ね、それを口に出さずに対岸で別れることを選ぶ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、夏の夕暮れ、川辺の情景、言葉にしない交感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
言いかけた「いい音」を呑み込み、櫓の拍子だけを名前より近くに感じるその一瞬。
最後の一漕ぎで水音が止んでも、その響きだけを喉に置いて持ち帰る――そんな一度きりの夕暮れを描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



