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1970年代初頭の東京の録音スタジオ(1973年当時のテイスト)が持つ、独自の重厚で哀愁を帯びた空気感を完璧に再現したオーケストラ歌謡・昭和バラードの傑作です。BPM68(ルバート)の物憂げなテンポのなか、Fマイナーの切ない旋律がナイロンギターの繊細なフィンガーピッキングによって紡がれます。ビブラートを深く効かせた豊潤なストリングス・クァルテット(弦楽四重奏)と、夜の静寂を思わせるバイブラフォンの儚いきらめきが、アナログテープ特有の温かみと微かなレコードの針音(ビニール・クラックル)の中に溶け込んでいます。
ボーカルは、息遣い(ブレス)の一つ一つに生々しい体温を感じさせる、情感豊かなトレモロを持った女性の声。歌詞は、手帳の隅に鉛筆で書かれた消えかけの名前をなぞりながら、「生きること、選択することの切なさと実存的な切望(Existential longing)」を『硝子の経歴書(レジュメ)』という美しい比喩を用いて描いています。中盤の静謐な語りかけるようなパートから、サビでのフル・オーケストラの大爆発(オーケストラル・スウェル)にいたるダイナミクスは圧巻。現代的な高音域の強調やドンシャリな音圧補正、完璧に補正されたドラムマシンのクオンタイズを徹底的に排除し、未完成の余白にこそ本当の明日が眠っていると歌い上げる、魂を震わせる劇的な名曲です。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。