桜舞いし刹那のステージのジャケット写真

歌詞

朧なる月光に咲きしウテナ

SilentNoise

[Intro](Fusion of Japanese drums and guitar)

桜の雨が 頬を打つ

誰の涙か 花びらか──

[Verse 1]

泥に咲くのが 運命ならば

濁りもまた 誇りに変える

掴み取る夢は 儚く散っても

ウテナ(蓮)のように 天(そら)を仰ぐ

[Pre-Chorus]

風吹く夜に ギターが泣く

こぶしを効かせ 想いを叫ぶ

[Chorus]

ハスに浮きてウテナ──

嵐を裂いて歌い咲け

美しきこの身が滅びても

魂は波間に咲き誇る

[Verse 2]

誰が笑おうと 構いやしない

傷も痛みも 強さの証

流す涙が 旋律ならば

心の海よ 燃え上がれ

[Pre-Chorus]

月が照らすは 孤独の舞台

音に生きるは 咲き誇る花

[Chorus]

ハスに浮きてウテナ──

夜明けの果てで誓い唄え

命を賭けた一節が

明日を灯す 紅の花

[Bridge](Interlude: electric guitar and shakuhachi interplay)

ビブラートが風を裂く

こぶしが夜を切り裂く

この声が 誰かの祈りならば

散っても構わぬ──

[Final Chorus]

ハスに浮きてウテナ──

泥の中から舞い上がれ

美しきこの魂が

永遠(とわ)に咲くまで──

[Outro](Quiet piano and the sound of waves)

桜が散っても 春は巡る

幻想の声が 空に溶けた。

  • 作詞者

    SilentNoise

  • 作曲者

    SilentNoise

  • プロデューサー

    SilentNoise

  • ボーカル

    SilentNoise

桜舞いし刹那のステージのジャケット写真

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舞台の幕が上がるたび、桜吹雪しえりは必ず、深く一礼してからマイクを握る。
ライトの熱と観客のざわめきが混ざり合う中、彼女の視線はいつもまっすぐ前を見据えている。

しえりが初めて歌ったのは、小さな港町の夜店の舞台だった。
客は酔っ払いばかり、誰も真剣に聴いてはいなかった。
それでも、彼女は歌った。
雨に濡れた泥道に足を取られながらも、声を震わせ、泥の上に花を咲かせるように。

その姿を見て、人は彼女を“ハスの歌姫”と呼んだ。
泥に沈みながらも美しく咲く花──その生き様が、彼女そのものだった。

年月が経ち、演歌界とロック界の狭間で生きる彼女の存在は、異端と呼ばれた。
演歌には激しすぎ、ロックには情が深すぎる。
だが彼女は笑って言った。
「私は私の歌を、魂で歌うだけです」

桜吹雪の舞う夜、彼女は新曲『ハスに浮きてウテナ』を披露した。
舞台にはギターの唸りと和太鼓の重低音。
彼女の声が放たれた瞬間、会場全体が息を呑んだ。
それはもはや音楽ではなく、祈りだった。

歌はこう語っていた。
──泥の中でも、美しく咲け。
──誰に笑われようと、自分の信じた音を貫け。

最後の一節を歌い終えたとき、舞台に一陣の風が吹き、桜の花びらが舞い散った。
その光景を見て、観客の多くが涙をこぼした。
それは悲しみの涙ではない。
しえりが放った魂の声が、心の奥に届いた証だった。

そしてステージの灯が落ちる瞬間、彼女は静かに呟いた。

「ウテナとは、蓮の台。
 この歌は、泥の底で生きるみんなへの花なんです──。」

その夜、彼女の歌声は街を越え、風に乗ってどこまでも響いた。
まるで夜空に浮かぶ一輪の蓮が、闇を照らすように。

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