桜舞いし刹那のステージのジャケット写真

歌詞

幻影寺

SilentNoise

[Prologue 語り](Bells, fog, and the sound of chanting in the distance)

「人は迷い、涙し、何度も立ち止まる。

──その果てに見える光が、幻なのか救いなのか、

それを決めるのは、あなた自身の心です。」

[Verse 1]

夜霧の奥に 灯りがともる

名もなき寺の 石段を登る

足跡さえも 風に消され

ただひとつの願いを抱く

[Pre-Chorus]

鐘の音が 胸に響く

生きるとは 赦すこと

[Chorus]

幻影寺──哀しみを抱き

滲む月を 仰ぎ見れば

罪も過ちも 流れゆく

光に溶ける 命の唄

[Verse 2]

灯籠の影に 微笑む影

「もう泣かなくていい」と囁いた

名も知らぬその声が

心の闇を やさしく撫でた

[Pre-Chorus]

この身ひとつ 流されても

魂はまだ ここにある

[Chorus]

幻影寺──祈りの果てに

手を合わせる そのぬくもり

何も持たずに 生まれ変われ

涙は風の しずくになる

[Bridge 神楽囃子 + 女声コーラス](The dance begins)

揺れる灯籠 舞う白衣(びゃくえ)

幾千の願いが 天へ昇る

「赦しとは 生きること」

声が、光となって降り注ぐ

[Final Chorus]

幻影寺──輪廻の彼方

命は巡り 夢は還る

孤独を越えて 歌となれ

この声で 誰かを照らす

[Epilogue 語り](The lingering sound of the bells and the wind blowing cherry blossoms)

「人生をやり直す場所など、本当はどこにもない。

けれど、“いま”を生きるあなたの中にこそ、

──救いは咲いている。」

(The sound of the bells fades away, and the curtain falls quietly. )

  • 作詞者

    SilentNoise

  • 作曲者

    SilentNoise

  • プロデューサー

    SilentNoise

  • ボーカル

    SilentNoise

桜舞いし刹那のステージのジャケット写真

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舞台の幕が上がるたび、桜吹雪しえりは必ず、深く一礼してからマイクを握る。
ライトの熱と観客のざわめきが混ざり合う中、彼女の視線はいつもまっすぐ前を見据えている。

しえりが初めて歌ったのは、小さな港町の夜店の舞台だった。
客は酔っ払いばかり、誰も真剣に聴いてはいなかった。
それでも、彼女は歌った。
雨に濡れた泥道に足を取られながらも、声を震わせ、泥の上に花を咲かせるように。

その姿を見て、人は彼女を“ハスの歌姫”と呼んだ。
泥に沈みながらも美しく咲く花──その生き様が、彼女そのものだった。

年月が経ち、演歌界とロック界の狭間で生きる彼女の存在は、異端と呼ばれた。
演歌には激しすぎ、ロックには情が深すぎる。
だが彼女は笑って言った。
「私は私の歌を、魂で歌うだけです」

桜吹雪の舞う夜、彼女は新曲『ハスに浮きてウテナ』を披露した。
舞台にはギターの唸りと和太鼓の重低音。
彼女の声が放たれた瞬間、会場全体が息を呑んだ。
それはもはや音楽ではなく、祈りだった。

歌はこう語っていた。
──泥の中でも、美しく咲け。
──誰に笑われようと、自分の信じた音を貫け。

最後の一節を歌い終えたとき、舞台に一陣の風が吹き、桜の花びらが舞い散った。
その光景を見て、観客の多くが涙をこぼした。
それは悲しみの涙ではない。
しえりが放った魂の声が、心の奥に届いた証だった。

そしてステージの灯が落ちる瞬間、彼女は静かに呟いた。

「ウテナとは、蓮の台。
 この歌は、泥の底で生きるみんなへの花なんです──。」

その夜、彼女の歌声は街を越え、風に乗ってどこまでも響いた。
まるで夜空に浮かぶ一輪の蓮が、闇を照らすように。

アーティスト情報

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