

棚の最後のテープを手に取る
ラベルに残るあなたの筆跡
水曜の夜更け部屋の片隅
重いボタンを静かに押し込む
回るテープの低いノイズは
フェンス越しに聴いたラジオのよう
減ってゆく二人の残り時間
終わりと知って私は測るの
満ちる光が不意に途切れて
何もない青い画面に替わる
先月四本で今月一つ
予約の余白が距離を教える
意味がないのに巻き戻しを押す
やはり三十分早く終わるの
終わりの尺を合わせる手間さえ
あなたは静かに手放したのね
もう録らなくていいと告げれば
全てが本当に終わってしまう
だからこの青を見つめたままで
一人でテープの終わりを選ぶ
消える光を静かに見送り
暗闇の部屋で停止を押すの
吐き出すテープの乾いた音で
二人の時間は取り出されてく
ラベルの文字を指先でなぞり
捨てずに私の意志で戻すの
窓の下には夜の246号線(ニーヨンロク)
手放したはずの微熱が痛い
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

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巻き戻しのブルー
Akemi
「巻き戻しのブルー」は、録画予約という言葉にしない約束で繋がっていた関係の終わりを、途中で途切れたテープと何もない青い画面に重ねて描いたミディアムテンポのシティポップ。
水曜の夜更けの神泉の部屋、棚から取り出された最後のテープ、ラベルに残る彼の筆跡、30分早く途切れた映像、そして窓の下に広がる二四六の夜景――録画予約の減少として可視化されてきた距離が、丁寧さの喪失として確定していく夜の心象風景を静かに浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、関係の終わりを察しながらも「もう録らなくていい」と告げることをせず、テープを捨てもせず、もう再生もしない――そんな第三の選択を自分の手で引き受ける大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都会の夜、深夜の部屋、言葉にしない約束を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
ラベルに残る彼の字を指でなぞってから、テープを棚に戻すささやかな手つき。
捨てるのでもなく、繋ぎ止めるのでもなく、自分の意志で「もう再生しない」を選ぶ――そんな静かな別れの輪郭を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
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nanayon music



