

誰もいない タイルの上で
冷たい台に 裸足(あし)を乗せる
ガコンと沈み 揺れ動く針
ガラスの奥の 自分の重心(おもさ)
小田急線の 暗い車窓(まど)から
フェンスの向こう 眺めた日々
踏み込ませない 距離の測り方
大和の街が 教えた輪郭(せん)
ジリジリと揺れ 定まる針に
測りきれない 距離を見つめる
通過していく あなたの視線
呼び止めること 私はしない
体重計から 裸足(あし)を下ろせば
あっけなく戻る ゼロの目盛り
ガラスに沈む 自分の影を
測らせるのを 自分でやめる
降りてしまえば 残らないもの
針が示すのは 幻の線
誰の瞳(め)にも 預けはしない
冷たいタイル 踵を返す
夜風が冷ます 井の頭通り(みち)を
測りきれない 距離ごと歩く
バネの戻った 誰も乗らない
ゼロの秤を 置いてきたまま
神泉の坂 下る足音
確かな重さ アスファルトへと
視線に意味を 求めはしない
自分の歩幅 静かに刻む
- 作詞者
Akemi
- 作曲者
Akemi
- プロデューサー
nanayon music
- ミキシングエンジニア
nanayon music
- ボーカル
Akemi

Akemi の“秤のシルエット”を
音楽配信サービスで聴く
ストリーミング / ダウンロード
- ⚫︎
秤のシルエット
Akemi
「秤のシルエット」は、二人の習慣だった銭湯に一人で訪れた夜、ダイヤル式体重計の針が示す数字と、降りた瞬間にゼロへ戻る目盛りに、すれ違いの兆しを重ねて描いたミディアムテンポのシティポップ。
平日の夜の脱衣所、冷たい金属の台、裸足で踏むタイル、ジリジリと揺れて止まる針、そしてゼロへ戻った文字盤――乗っている間だけ存在を記録し離れれば忘れる装置の動きが、通過していく相手の視線に黙って向き合う夜の輪郭を浮かび上がらせる。
架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、「ここにいる」と告げることもしないまま、自分の重さを誰かの瞳に預けることをやめる大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、銭湯の蛍光灯、夜の坂道、二人の習慣の残像、すれ違いの距離感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。
針がゼロへ戻るその瞬間、もう一度乗ることはせず、Akemiは冷たいタイルの上で踵を返す。
視線に意味を求めず、神泉の坂を下る足音だけがアスファルトに自分の重さを刻む――そんな静かな自立の輪郭を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.
アーティスト情報
Akemi
1970年代後半〜80年代前半の「シティポップ/ニューミュージック」が持つ哀愁と夜の空気感を、生成AIと編集で“作品として”再構築する音楽プロジェクト。 Akemi(アケミ)は、神奈川県大和市出身という設定で生まれた架空のAIシンガー。都会の孤独、大人の恋、夜の感情を、ノワール調のシティポップとして歌う。 作詞・作曲・歌唱・ビジュアルは生成AIを制作ツールとして用いながら制作し、「AIの中にある人間味と懐かしさ」をテーマに探求している。
Akemiの他のリリース
nanayon music



