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2000年代中期のUKインディー・ロック(アークティック・モンキーズやザ・リバティーンズなど)のソリッドでジャングリーなギター・リバイバルに、現代的なスローコアの内省的なダイナミズムを融合させた、BPM98(Eマイナー)の極めて知的でシアトリカルなオルタナティブ・ロックです。楽曲を特徴づけるのは、王道の4/4拍子の中に意図的に組み込まれた「2小節の変則的なフレーズ拡張(2-bar extensions)」。ドラムマシーンを模したタイトで無機質な生ドラムと、フレーズの境界線で人間味を露呈するように崩れるハイハットのフラム(装飾音)、そして右チャンネルに完全に定位した極めて饒舌なメロディック・ベースの対位法が、どこか借り物の記号で構築された現代人のアイデンティティを冷徹に描き出します。
楽器構成は、高音弦をあえてわずかにアウト・オブ・チューン(調律不良)のまま残した、ジャングリーで金属的な鳴りの2本のエレキギターによる「I-VI-III-VII」の循環コードのみ。シンセサイザーなどのエレクトロニックな要素を完全に排除し、マスターバスに施されたスマートフォン・スピーカー風のローカット・フィルターが、スマートで風通しの良い質感(中低域のプレゼンス・ブースト)を演出しています。ボーカルは、マイクから16インチ(約40cm)の距離で捉えられた、自信に満ちた男性のシアトリカルなバリトン・リード。ミディアム・ホールの残響に包まれながら、「ネットの海や引用符から感情を学習した」という現代的な痛みを、冷笑(アイロニー)を排して淡々と報告(レポート)するように歌い上げます。最大の見せ場は2:15、すべての楽器が凍りついたかのように静止するなか、ベースラインだけが完全にコードを逸脱してエモーショナルなソロを奏でる「マイクロ・ドーパミン・イベント」。最後は究極の引き算を経て、声とベースの残響が減衰した瞬間、フェードアウトに逃げることなくマイナス1.2 LUFSの硬質なリミッターがスパッと完全な真空の静寂へと遮断される、世代のリアルを撃ち抜くアート・ソングです。
Negi0723は、感情の揺らぎと都市の空気感を繊細にすくい取るミュージシャン。 エレクトロニックとポップ、オルタナティブの要素を横断しながら、 きらめきとノスタルジー、衝動と内省が共存するサウンドを描き出す。 印象的なメロディと映像的なリリックが特徴で、 一瞬の感情や夜の断片を切り取るような楽曲世界は、 リスナーそれぞれの記憶や物語と静かに共鳴していく。 ジャンルに縛られず、感覚を信じて音を紡ぐ。 Negi0723の音楽は、日常と非日常の境界線をやさしく溶かしていく。