

古い木橋を歩いてた
途中で竹を突き刺され
死んだ亀が二匹
向こう側から歩いて来る
釣人のおじさん
左手に持った網
「見せてやろうか?」
とにこやかに笑う
愉快げにおじさんは語り出す
縁日で売ってる緑亀が増えて
この川にも沢山いるんだ
ほら、こんなに大きくなっちゃってさ
あとこれ外来種なんだよ
本来いるべきものじゃ無いんだよ
亀の甲羅をぐっと押さえ
竹の棒を顔に突き刺すおじさん
赤黒くなる亀の顔
ぐじゅくじゅという
嫌な音が耳にへばりつく
ぼーんと亀を放り投げる
亀の死体が三匹
先ほどの亀がまだ生きていた
顔に竹が刺さったまま
バタバタと30センチほど進む
そして止まった
全てが止まった
全てが消えた
「オレは魚を釣りに来てるんだけどね
亀が釣れちゃうんだよね」と
おじさんは椅子に座り直し
缶コーヒーをグイッと飲んで
また釣りに興じ始めた
その日の茨城の空は灰色で
春の陽気とは程遠い
少し肌寒い風が吹いていた
土手の上に止まった黒い軽トラックの脇で
名前の分からない黄色い花が沢山咲いてる
匂いを嗅いでみたけど
何の匂いもしなかった
串刺しにされた亀
串刺しにされた亀
外来種で殺される
串刺しにされた亀
- 作詞者
鈴木 諭
- 作曲者
鈴木 諭
- ミキシングエンジニア
鈴木 諭
- マスタリングエンジニア
鈴木 諭
- ギター
鈴木 諭
- ボーカル
鈴木 諭

鈴木 諭 の“亀のいる木橋 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)”を
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2024年7月20日に工房ムジカにて行った、初・独演会『27年前の私に送る秋田の詩たち。』の模様を全編音源化。当日は酷い雷雨。演出かのように入り込む雨と雷の音。ライブの内容も圧巻。
店主・葛原りょう氏はライブ後に、以下のように書き残している。
「こんなに全身血の気の全力で引くライブは初めてだ。
圧倒的な虚無感。語りの冴えが痛ましく、リアルの極み。
月曜日の雪。犬の川。亀の串刺し、ばあちゃんの遺影。
上田病院。アトピーの歌。怒涛のギターの畳みかけ。
言い尽くせぬライブだった。
たしかに梅雨明けの日暮里は雪国だった。」
筆舌に尽くしきれぬ地獄の世界、心して体感して貰いたい。
いざ、地獄の世界へ。
アーティスト情報
鈴木 諭
地獄の詩世界と秋田弁ブルースを唄う、ただの秋田県人。じゅんさい王国(旧・山本町)出身。2023年頭より弾き語りを本格始動し、代表曲である『犬の川』はライブ演奏を通し多数の人間から「これは犬の楢山節考だ」などと激賞を得た。また秋田弁ブルースは「何を言ってるか全く分からないけど面白い」等の声を集め、ライブの重要要素の一つとなっている。
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