工房ムジカ、令和六年夏。空、鈍色。天気、雷雨。のジャケット写真

歌詞

亀のいる木橋 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

鈴木 諭

古い木橋を歩いてた

途中で竹を突き刺され

死んだ亀が二匹

向こう側から歩いて来る

釣人のおじさん

左手に持った網

「見せてやろうか?」

とにこやかに笑う

愉快げにおじさんは語り出す

縁日で売ってる緑亀が増えて

この川にも沢山いるんだ

ほら、こんなに大きくなっちゃってさ

あとこれ外来種なんだよ

本来いるべきものじゃ無いんだよ

亀の甲羅をぐっと押さえ

竹の棒を顔に突き刺すおじさん

赤黒くなる亀の顔

ぐじゅくじゅという

嫌な音が耳にへばりつく

ぼーんと亀を放り投げる

亀の死体が三匹

先ほどの亀がまだ生きていた

顔に竹が刺さったまま

バタバタと30センチほど進む

そして止まった

全てが止まった

全てが消えた

「オレは魚を釣りに来てるんだけどね

亀が釣れちゃうんだよね」と

おじさんは椅子に座り直し

缶コーヒーをグイッと飲んで

また釣りに興じ始めた

その日の茨城の空は灰色で

春の陽気とは程遠い

少し肌寒い風が吹いていた

土手の上に止まった黒い軽トラックの脇で

名前の分からない黄色い花が沢山咲いてる

匂いを嗅いでみたけど

何の匂いもしなかった

串刺しにされた亀

串刺しにされた亀

外来種で殺される

串刺しにされた亀

  • 作詞者

    鈴木 諭

  • 作曲者

    鈴木 諭

  • ミキシングエンジニア

    鈴木 諭

  • マスタリングエンジニア

    鈴木 諭

  • ギター

    鈴木 諭

  • ボーカル

    鈴木 諭

工房ムジカ、令和六年夏。空、鈍色。天気、雷雨。のジャケット写真

鈴木 諭 の“亀のいる木橋 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

  • 1

    犬の川 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 2

    空っぽの青い犬小屋 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 3

    じゅんさいになった猫 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • ⚫︎

    亀のいる木橋 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 5

    泣いているのはなまはげです。 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 6

    遠い昔の冬の空 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 7

    ブラジルで夢を見よう。 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 8

    たった一つだけの記憶 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 9

    朗読・帰郷 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 10

    友川カズキを聴きにゆく (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 11

    朗読・自殺者対策会議 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 12

    裏日本 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 13

    朗読・生きてて良かった。 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 14

    アトピーのうた (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 15

    盛岡、雪。上田病院。 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 16

    朗読・月曜日の雪 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 17

    月曜日の雪を知っている (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 18

    朗読・27年前 (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 19

    私は婆さんの死を知らない (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 20

    アンコール (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

  • 21

    夏の風はいつも苦しい (Live at 工房ムジカ 2024.07.20)

    鈴木 諭

2024年7月20日に工房ムジカにて行った、初・独演会『27年前の私に送る秋田の詩たち。』の模様を全編音源化。当日は酷い雷雨。演出かのように入り込む雨と雷の音。ライブの内容も圧巻。
店主・葛原りょう氏はライブ後に、以下のように書き残している。
「こんなに全身血の気の全力で引くライブは初めてだ。
圧倒的な虚無感。語りの冴えが痛ましく、リアルの極み。
月曜日の雪。犬の川。亀の串刺し、ばあちゃんの遺影。
上田病院。アトピーの歌。怒涛のギターの畳みかけ。
言い尽くせぬライブだった。
たしかに梅雨明けの日暮里は雪国だった。」
筆舌に尽くしきれぬ地獄の世界、心して体感して貰いたい。
いざ、地獄の世界へ。

アーティスト情報

哥処 墨林庵

"