伝線のクレッシェンドのジャケット写真

歌詞

伝線のクレッシェンド

Akemi

神泉の鏡台 夕暮れの窓

ストッキングを履く 太腿まで

葉書の一行 まだ繰り返す

時計の針が 六時半を過ぎる

太腿の内側に 細い筋

指で押さえる まだ短い

黒いナイロンに 走る一本

葉書の一行を 読み返さない

伝線が下へ ゆっくり伸びる

時計の針と 並んで進む

「来てほしい」とは まだ言わない

確かめないまま 膝の手前

膝を越えた 黒い縦線

脛まで届く 止めずに見る

靴を履く前に 立ち止まる

踝の上で 筋が止まらない

透明マニキュアは 引き出しの奥

取りに行かないと決める 立ったまま

脛の伝線 息が止まる

止める道具を 持たないでいる

靴は床に置く 履かないでおく

コートを掛け直す 出かけない夜

受話器には触れず 葉書を伏せる

鏡台に戻る 脱がない夜

葉書は引き出しに 黙って戻す

黒い縦線は 肌のうえに

「待っていた」とは まだ書かない

ラジオの目盛りを 深夜に回す

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

伝線のクレッシェンドのジャケット写真

Akemi の“伝線のクレッシェンド”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

  • ⚫︎

    伝線のクレッシェンド

    Akemi

「伝線のクレッシェンド」は、日曜の夕方、出かけるはずだった夜に葉書一行の連絡しかなく、ストッキングに走る伝線がゆっくり脚を伝う数十分を描いたミディアムテンポのシティポップ。
神泉の鏡台、葉書の一行だけの文字、引き出しの奥の透明マニキュア、玄関に並べた靴、そして膝から脛へ進んでいく黒い縦線――確かめない選択と止めない選択が並んで進む夜の手触りを浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、電話で確かめれば動向を確かめる側の女になると知っていて、確かめずに伝線が伸びるのを見続け、靴を履く手前で出かけない側に立つ大人の感情。
70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやアーバン・ポップが持っていた、都会の夕暮れ、部屋の支度の時間、葉書一行の距離感を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

靴を履く手前で立ち止まり、受話器には触れず、葉書を伏せ、コートを掛け直す。
脱がないストッキングのままラジオの目盛りを深夜に回す――そんな確かめない選択を自分の手で繰り返す夜を描いた楽曲。
Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

"