Bi heno hukushu Front Cover

Lyric

Kawasemi

Daichi Wago

大きな夜から遊びに来ました。

大きな暗闇から遊びに来ました。

仲良くしよう。

仲良くしてね。

おれがおれになる瞬間が

一度は確かにあったはずなんだ。

じゃあその前はなんだったんだろう?

わからない。いま、暗闇だ。

わからないならいま、夜だ。

おれが言っているこの「夜」というのは、

およそ午後6時から午前4時までの

時間のことを指す言葉じゃない。

眠れない眠りを抜けていこう。

ネオンライトや、

すばらしい仲間たちや、

ありきたりな暴力、

脱ぎ捨てられるランジェリーとも

一切関係がないよ。

夜は、いま

照らされていないすべての場所をいう。

決められた形をまだ持たないものをいう。

夜だ。

きみがきみになる瞬間が

一度はたしかにあったはずなんだ。

じゃあその前は?

たとえば

君はかつて小さな鳥だったんだ。

きみはかつて 小さな鳥だったんだ

青く美しい羽根を

むしられた時のこと覚えてる?

昨日はぐっすり眠れた?

透き通った悲しみが降る夜におれは

練馬から西に向かって一晩中歩いていた。

きみがきみになる前きみは鳥だった、

誇りは青い羽。

ぱっと飛び立つと陽の光を受けて、

つめたい火花が散る。

どうだ、おれの羽は見事だろう。

青い魂が燃えるんだ。

誰が羨んだ、誰かが妬んだ、

襲われ羽をむしられた。

強い力の前小さな鳥は丸裸。

血だらけの貧弱な身体、醜い、

誰かに見られる前に逃げ出そう。

砂漠の果ての神様の国では

どんな願いも叶うという。

そこへいこう、羽を取り戻して、

あいつに復讐する。

途方もない、砂漠。

らくだの頭蓋骨たちが門出を祝う。

光光光光の中を、

よたよた進む一羽の怒り。

腹をすかせたハイエナの群れが、

きみの肉を分け合って啄んだ。

もはや肉体はない。

骨格だけが東へ向かう、

炯々と怒りに燃える両目。

激しい魂だけ、

やっと辿り着いた神の国の神々は

笑ってきみを蹴飛ばした。

「お前は醜い、羽がないなんて

気持ち悪い身体がないなんて」

最後の命 振り絞り

ぽろぽろこぼれる透き通った涙

ながれ

止まない叫びの雨。

雪崩、おれの鉛筆の先に

嘴の影、ひかり

濡れて痛みを食べるよ

傘をささずに歩いていこう。

まよなかの氷雨のつぶに聞いてみる

いずこより出ていずこへ還るか

まだ暗い第三埠頭で、

夜が隣に腰掛けた。

鉛筆の味がする

  • Lyricist

    Daichi Wago

  • Composer

    junchai

  • Producer

    junchai

Bi heno hukushu Front Cover

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  • 1

    hihi

    Daichi Wago

  • 2

    inu no yume

    Daichi Wago

  • ⚫︎

    Kawasemi

    Daichi Wago

  • 4

    ryuyowatashiwo

    Daichi Wago

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