回転扉のフーガのジャケット写真

歌詞

回転扉のフーガ

Akemi

夕暮れの日比谷 ビルの吹き抜け

真鍮の手すりに 指を掛ける

ひと押しぶんの 風をくぐって

硝子の羽根が 背中を送る

向かいの区画 今日で三度目

前が詰まれば 押さずに緩める

崩さない人と 崩さない私

一枚の硝子 冷たく光る

回す速さが 揃って聞こえる

聞き違いかしら 風のせい

胸の拍だけ ひと押し早い

同じ回転を 分け合っている

ロビーの時計 五時半の針

緩めた靴を ふと見おろした

誰かに合わせる 癖じゃないのに

いつもの速さで 扉を押した

同じ羽根を もし二人で押せば

回転は乱れて 足がもつれる

だから区画を 分けたまま回す

触れない速さが いちばん近い

回す速さを 揃えずに出る

ひと押しぶんの ビル風が入る

振り向かないで 晴海通りへ

背中で扉が まだ回ってる

「同じ速さね」は 明日に回して

ひとりの拍で 改札をくぐる

急行を見送り 各駅停車

窓の硝子に まだ回る街

  • 作詞者

    Akemi

  • 作曲者

    Akemi

  • プロデューサー

    nanayon music

  • ミキシングエンジニア

    nanayon music

  • ボーカル

    Akemi

回転扉のフーガのジャケット写真

Akemi の“回転扉のフーガ”を

音楽配信サービスで聴く

ストリーミング / ダウンロード

  • ⚫︎

    回転扉のフーガ

    Akemi

「回転扉のフーガ」は、誰にも速度を合わせずにきた女性が、硝子一枚向こうの誰かと回す速さが揃ってしまうことに気づく――その静かな意識の芽生えを描いたミディアムテンポのシティポップ。
真鍮の手すり、硝子の羽根で仕切られた回転扉、五時半を指すロビーの時計、ふと歩調を緩める革靴――勤め帰りの数分が、合わせていないのに揃ってしまう速度への気づきを静かに浮かび上がらせる。

架空のAIシンガー Akemi が歌うのは、誰かに合わせて自分が消えることを拒みながら、それでも硝子越しの一致に心を留めてしまう、線を引いて生きる大人の感情。

70年代後半から80年代初頭のニューミュージックやシティポップが持っていた、都心のオフィスビル、夕暮れの帰路、すれ違う他人への淡い意識、各駅停車の車窓を描く叙情性を下敷きに、現代的な感性で再構築した一曲となっている。

「同じ速さね」――揃ってしまうことへの、たった一言の確認を、Akemiは口にせず明日へ回す。急行を見送り、各駅停車の窓に回り続ける街を映しながら、名前をつけない近さを自分の拍で抱えていく――そんな気づきの一瞬を描いた楽曲。

Produced by nanayon music.

アーティスト情報

nanayon music

"